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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)

「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(29)

「ワタシみたいに、育ちが悪くて、たいした教育も受けてない人間は、あちらじゃいい仕事に就けないんです。ワタシ日系人だから、まだ仕事が見つかりますが、現地人の女だったら、女中くらいの仕事しかないですよ」「う~ん。でも、日本に長くいると、子供が懐かしいでしょ」「そりゃもう。毎晩、子供のことを思って泣いてますよ。年に1、2回は、山ほどお ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(28)

 いきなりエバの本名が出てきた瞬間、「やった!」と思った。エバとカロリーナは同一人物らしい。 ケチな外人と思われたら話が聞けないので、仕方なくOKして、出てきたシャンペンのボトルを見て驚いた。「ピンドン」(ドンペリニョンのロゼ)だった。「サウージ(乾杯)!」 まず、三人で乾杯してから、ようやく本題に入れた。【第14話】 エレーナ ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(27)

「外人は、セット料金しか払わないのが多いの。たまに女の子を指名するけど、ボトルを入れないし、長い時間いても金離れが悪いから、店にとっていい客じゃないってことかなー。日本人の客だったら、カイシャの・・・何てったっけ、そう、『セッタイヒ』とかいうのを使ってさ、セットに入ってない高級なお酒を何本もとってさ、パーっとお金を使ってくれるわ ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(26)

【第13話】 10月半ばの週の水曜日は秋晴れ。昼間は、マンションの経営管理を委託している不動産会社から、「経営状況」について報告を受けた。久々の「仕事」だった。何もしなくても金が入ってくる結構な身分だが、もうあの世に行くまでに使い切れないほど貯まったので、これ以上稼いでどうしよう。 その夜は、約束どおり、ジュリアーナに会いに行く ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(25)

「山本さんが初めてアパートに来た時、アナをじっと見つめていたので、いやらしいオヤジだなと思いましたが、そんなわけがあったのです。僕の妻は今回初めて日本に来たのですと言ったら、たぶん人違いだろうと言っていました。でも、ジュリオさんの話を聞いて、もしアナの妹カロリーナが、以前日本にいた時に水商売をしていたとしたら・・・」「『エル・パ ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(24)

「肝心のアナについての情報が、ほとんど無いですね。今までのお話を聞いても、アナがなぜ死んだのか、手がかりがつかめません」「そうなんだよ。でも、アナの母親だという女。あれはまるっきりでっち上げだということが分かったな。守屋が撮った家族写真を見せてもらった時、アナと彼女の母親があまり似てないから変だと思ったけどね」「それについては、 ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(23)

「忘れていました。大ニュースです!どうも、彼女ができたみたいです」「えっ、嘘だろー!」「その彼女というのが、ブラジルと日本の混血のすごくかわいい子です。まだ10代だと思います」「日本の引きこもり男が突然ラティーノに変身か?そいつ、どうやってブラジルのガロータ(若い娘)を捕まえたのかな」「彼は、捕まえたのではなくて、捕まったのです ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(22)

 リカルドは、東京では六本木とか青山とか気取った場所しか知らないので、もっと庶民的で昔の東京を想像できるような場所に行きたいと言うので、タクシーを拾って、『新宿ゴールデン街』に案内することにした。 区役所通りから少し入り、老舗のストリップ劇場の前で車を降り、『街』の正門の向こう側に足を踏み入れたとたん、リカルドが驚いた。「これは ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(21)

「近くにブラジルレストランがあっていいですね」 なんて言わなくてよかったと思いながら、続けて聞いてみた。「でも、彼女は、会社を辞めてどうする気だったんですかね」「きっと、週末の稼ぎだけでは足りなかったのでしょう。ブラジルの会社でOLをしているより、手っ取り早く稼げる仕事に専念した方がいいと思ったのかもしれません。日本では、若くて ...

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「ある日曜日」(Um Dia de Domingo)=エマヌエル賛徒(Emanuel Santo)=(20)

 挨拶のあとは少しばかり世間話をして、早速本題に入った。 支店長は、2001年の初めに、サンパウロ本社から研修のため来日したカロリーナ・サントスのことをよく覚えていた。「カロリーナは、美人で性格もいい子でした」「日本ではどんな生活を?」「うちは経営が楽ではないので、経費の節約のため、彼女には埼玉県の浦和にある家賃の安いアパートに ...

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