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2014年

大統領と日本移民の友情=松原家に伝わる安太郎伝=(5)=孤独な「二頭引き馬車政治」=政局均衡に多様な勢力取込む

1930年に臨時大統領に就任した当時のヴァルガス公式写真(Dominio publico)

 ヴァルガス大統領は、国家統一を最優先してブラジル精神高揚を図り、現在につながる「ブラジルの骨格」を作った人物と言われる。37年に彼のクーデターによってエスタード・ノーボ(新国家体制)という独裁政権が樹立され、日本移民は様々な迫害を受けた。日本語学校の廃校、日本移民の移動制限、公の場での日本語使用の禁止、邦字紙停刊等の国粋政策だ ...

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『米州の一奇跡、パラグァイ国』=存在感示した宇国ムヒカ大統領=(下)=坂本邦雄

 因みにウルグァイと亜国との間での最も象徴的なイザコザは、河口でラプラタ河となる両国の国境ウルグァイ川上に、ウルグァイが建設したパルプ工場の、ヘーグ国際司法裁判所にまで亜国に告訴された河川汚染問題だ。今は小康状態(ウルグァイが勝訴)にあるが、この類の紛糾が亜国の御機嫌次第で何時また再燃するか分からない。今も嫌がらせある巴亜国間  ...

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大統領と日本移民の友情=松原家に伝わる安太郎伝=(4)=「彼の鍬は普通の2倍ある」=渡伯20年後には大農場主に

 1918年7月末から約50日間に渡って日本では米騒動が起き、全国に波及した。松原の故郷和歌山県では、民衆を扇動した罪で二人が死刑判決を受けるなど荒れた世情があった。それを受け、食糧難にあえぐ日本政府は盛んにブラジル移住を奨励していた。祐子さんはそんな状況が松原の決断を後押しし、「ブラジルに行き、そこで人生を送ると決めた」のだと ...

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大統領と日本移民の友情=松原家に伝わる安太郎伝=(3)=マリリア市創設期の二人=ヴァルガス「ぜひ会いたい」

松原を大統領に紹介したというアルキメデス(国立国会図書館サイトより許可を得て転載)

 マリリアの町自体は1926年12月にピラジュイ司法区カフェランジア郡所属「マリリア管区」となり、翌27年4月1日に市制を敷いた。戦前移民・小針一(こばりはじめ)の手記「マリリア市の興りと邦人初期の移住者の動向」には《マリリア最初のホテルはルイス・ブリト・マニャンエス、その弟が有名なアルキメデス》とだけ触れている。同家は町で最も ...

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『米州の一奇跡、パラグァイ国』=存在感示したムヒカ大統領=(上)=坂本邦雄

 最近パラグァイは色んな面で国際的に注目されているが、それを端的にいみじくも表現するのが、正にブラジルのゼツリオ・バルガス財団に属するコンサルタントで、作家のワグナー・E・ウェーバー氏のパラグァイ情勢を論評するその著書の原題(筆者仮訳)ではないかと思い、敢えて本稿の題名に使わせて貰った。 同氏の著述に依ると、現在は内陸国の人口ほ ...

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大統領と日本移民の友情=松原家に伝わる安太郎伝=(2)=謎の仲介者アルキメデス=松原の代理人で元大統領秘書

 一介の外国人である日本移民が、時の大統領と個人的に親しかったために獲得した「特別の移民枠」。その経緯に関しては謎が多い。 戦後移民が開始された1953年、戦前戦中の米国による反日プロパガンダ、敗戦、そして終戦直後の勝ち負け抗争による日本移民への嫌悪感ともいえる余韻が、ブラジル社会全体に残っていた。当時の国民感情からすれば日本移 ...

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大統領と日本移民の友情=松原家に伝わる安太郎伝=(1)=息子の妻が逸話明かす=「特別な関係」とは何か

 61年前、難問だった「戦後初の日本移民導入」をジェトゥリオ・ヴァルガス大統領(当時)との〃個人的な関係〃から実現したのが、和歌山県出身の戦前移民・松原安太郎(1892―1961)だ。そんな大功労者の割にまとまった経歴が書き残されておらず、むしろ〃毀誉褒貶相半ばする人物〃のような評判まで残っている。今年4月に仁坂吉伸・和歌山県知 ...

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パウリスタ延長線戦後史1=子孫にとっての勝ち負け抗争=(終わり)=「家族の歴史に誇りを感じて」=郷土史家、修正申し出る

23歳とは思えない堂々たる議長ぶりを見せた青木カイオ市議

 「この60年間、今日のような話は一度も聞いたことがなかった」。山内明さんは証言台で、目に涙を滲ませながらそう感想を語った。「特にアドリアノ・ジョーゴ委員長の話だ。拷問や差別があっても、父母からブラジル政府への悪口は聞いたことはなかった。今日聞いた話は、現在のように敬意を持たれるまでになった日系社会が生まれるまでの、貴重な歴史の ...

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パウリスタ延長線戦後史1=子孫にとっての勝ち負け抗争=(5)=郷土史にモライス著から引用=「情報戦の時代に生きている」

 ジョーゴ委員長は「日本人を残酷に扱ったことは、ブラジル人にとって語ることを憚られる歴史でもある」とのべ、戦後の勝ち負け抗争時にDOPSで不当に日本移民を拷問し、日の丸を踏まなかっただけの人までアンシェッタ島に送り込んだことを、ブラジル政府側の一機関としてツッパン公聴会で謝罪した。 昨年10月にサンパウロ州議会で行われた第1回公 ...

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パウリスタ延長線戦後史1=子孫にとっての勝ち負け抗争=(4)=米国の排日プロパガンダ=宣戦布告前から敵性移民扱い

サントス強制立ち退きを報じる1943年7月10日付ア・トリブナ紙

 ツッパン公聴会でアドリアノ・ジョーゴ委員長は、戦中戦後の日本人差別が、勝ち負け抗争勃発の一因になったという考え方を公式に認めた。 「ヴァルガス独裁政権は元々親ドイツ、イタリアだったが、1942年に米国との関係を大きく修正した。米国から製鉄所建設、フェルナンド・ノローニャの空港、ナタールの空軍都市化(米国が南大西洋に展開する拠点 ...

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