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移民のふるさと巡り=3千キロの旅=4=ウエット・スーツ着て〝変身〟―ボニート、大自然楽しむ

10月11日(土)

 サンパウロから千二百キロ、パンタナルというとマット・グロッソ州のクイアバからポコネ、ポルト・ジョフレにかけてのトランス・パンタネイラやバロンデ・メルガッソのワニ、ツゥユユーが群れる地帯、南マット・グロッソ州のクイアバ河とパラグアイ河が合流して流れるコルンバ付近を想像するが、このセーラ・ダ・ボドケナ国立公園もパンタナルの一部を形成している。
 共栄移住地を出てから途中での休憩を含めて約五時間、ボニートへの道の両側は牧場地帯で牛が群れている。街にあかりが灯りはじめる頃、ホテルに着く。ボニートは海抜三百十五メートル、人口はエコー・ツーリズモで注目されるようになって、周辺を含め五万人ぐらい。町や周辺の建物も高さが規制され、ビルといったものは無い。
 ホテルの名はヴェテガ(WETEGA HOTEL) といって、この付近に住んでいたインディオの言葉で石(PEDRA)を意味するそうだ。まだオープンして一年も経っていない。オーナーは日系人でパラナ州ウムアラマ出身。
 セーラ・ダ・ボトケナはボニート、ジャルジン、ボドケナ市にまたがる国立公園で、面積は七万九千平方キロ、土地は石灰岩を含んだもので、地下にしみ込んだ水は、地下に洞窟を作り鍾乳洞が八十近くも存在する。その一つ一つが乾期、増水期を問わずに楽しめる。その地下を通った水が方々で流れだし、滝や急流を作る。透き通った流れにはドラードやピラプタンガといった魚が群れている。この地域では透き通った流れの中を泳いでいる魚の捕獲は禁止されている。
 九月二十八日(日)朝八時、現地のバスに分乗し、現地ガイドが乗り込んでリオ・ド・ペイシェ農場へ向かう。三十二キロほどの道を走るのに、一時間半かかった。
 グループに別れてガイドと一緒に農場内の谷に沿った道を行くと水の音が聞こえ、魚のいそうな感じがするが、ガイドの話では滝があるためか大きくなる魚はいないらしい。谷を下ったところにある流れには魚影が見える。
 ガイドがトウモロコシの粒を投げ込むと、水面にさざ波が立ち魚がトウモロコシを食べる。この魚(ピラプタンガ)は、飼われているものではなくて自然に河川に棲んでいる。そばを泳いでいても寄ってくるほどだ。雨で少し肌寒いので、あまり水に入る人もいなかったが、それでもここまで来たから、と滝の近くに行き水を被る人もいた。
 農場の本部に帰るといい匂いがしている。皆が集まるまでには時間があり、トレッキングでかいた汗をしずめるために方々でビールの缶を開ける音がする。街では味わえないほどうまい。昼食はどれもブラジル料理だが美味かった。昼から少し雨が強くなり、予定を変えてホテルに帰ることにした。
 ボニート二日目。午前中、七キロほど離れたスクリー河へ行く。ここにはバイア・ボニート・エコロジー保護区がある。グループ九人ずつに分かれてウェット・スーツを着て、ライフジャケット、水中メガネ、シュノーケルでプールの中で呼吸の練習。水は澄んでいるが、川底には落ち葉などが沈んでいるため、泳いだり川底に足を下ろすことは禁止になっている。
 その練習が終わると、グループは河までトレッキング。こんなことをするのは何十年ぶりか、初めての人ばかり。水に入ると子どもにかえったようになり、専門のガイドとともに川を下る。泳ぐ魚が目の前を通りすぎる。一キロほど周囲の風景、川底を眺めながら流れ、岸に上がり歩いて戻る。心地よい疲れと空腹を感じる。
 戻ると昼食。大自然の中で飲むビールや食事が美味い。グループに分かれて川に入ったため、先のグループはホテルに戻り、出発の準備。午後三時過ぎ、バスはボニートに別れを告げ、パンポ・グランデに向かった。つづく。(伊東信比古さん通信)

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