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田中元総領事から年賀状=気さくな性格で人気博す

1月9日(金)

 九三年から約三年半、サンパウロ総領事を務め、現在、スペイン全権大使として活躍している田中克之氏。コロニア行事には自らすすんで参加し、朗らかで気さくな性格が市民に親しまれた。一方、九六年末のペルー公邸占拠事件では、対策本部長として現地で采配をふるい、その実力を発揮した。いまでも日系人の人気を博す田中氏から、陽子夫人と連名で、年賀状がこのほど、当時の県連会長、網野弥太郎さんのもとへ届いた。
 田中氏の手紙は、スペインの現状などが詳細に伝えられ、職務に対する情熱が伺える。GNPで世界第九位、EU内では五本指に入るスペインの国力を分析。イラク戦争での米英路線支持、EU新憲法の意志決定方式案の拒否などが記され、また、総選挙やフェリッペ皇太子結婚についても触れられている。日本との関係についても、昨年は小泉純一郎首相らの訪西が実現し、日西交流は徐々に深まっていると語っている。
 手紙を受け取った網野さんは、「(田中氏は)『百聞は一見にしかず』が口癖だった。いつもお酒を一緒に飲み、誰とでも気さくに対応していた。進出企業と地場企業の潤滑油的役割も果たしていた」と当時を回顧。「ブラジル大使として、もう一度、ブラジルに来てもらいたかった」と期待を寄せていた。
 田中克之
 九三年四月、聖総領事に着任。日伯修好百周年記念行事では名誉委員長を務め、八十万レアルの余剰金を基金として管理することを提案。同基金は現在、県連、文協、援協、アリアンサ、商工会議所の五団体が管理、日本語教育や社会福祉活動への助成金として日系社会を支えている。九六年十二月、ペルー公邸占拠事件が発生、同事件対策本部長として、半年近く現地で指揮をとった。九七年、中南米局長に就任、メキシコ全権大使を経て、二〇〇一年からスペイン全権大使。