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サンパウロ市を楽しむ秘訣伝授=JETRO桜井所長ら=体験談交えセミナー

2006年2月3日(金)

 内気にならずしゃしゃり出るのが楽しむ秘訣――。ブラジル日本商工会議所コンサルタント部会、ブラジルを知る会、BUMBAの共催セミナー「サンパウロで駐在生活を楽しむには」が一日午前十時から、国際交流基金サンパウロ日本文化センターで行われた。
 講師はJETROサンパウロ所長の桜井悌司さん。来伯数カ月から数十年といった約九十人の女性を中心とした参加者が来場、耳を傾けた。
 最初に共催団体であるブラジルを知る会の清水裕美代表、BUMBAの細川多美子編集長が自らの経験も交えつつ、それぞれにサンパウロの魅力を語り、桜井さんに席を譲った。
 〇三年十一月に来伯した桜井さん。「この二年三カ月でどう楽しんできたかを話したい」と始め、自身が編集した「サンパウロの主要通りの由来」を紹介。
 「こういう知識を日本から来た上司などに紹介すると出世も早まるのでは」と会場の笑いを誘った。
 セミナーでは「サンパウロでの駐在生活を楽しむには」というレジメを基に、音楽や博物館巡り、レストラン探訪などエンターテイメント分野での魅力を最初に紹介。
 「サンパウロを楽しめない理由として『何も見るものがない』という先入観を持っている人が多いのでは」分析。娯楽施設の数など具体的な数字を挙げ、「サンパウロは楽しいことで一杯」と裏付けた。
 かつて赴任していたイタリアと比較し、「オペラや演劇などはリーズナブル。そのレベルも決して低いものではない」としたうえで、チケットの購入方法なども具体的に説明するなど積極的な楽しみ方を勧めた。
 「ルーブル美術館などは、帝国の権力にものをいわせて作ったいわば『泥棒美術館』。サンパウロ美術館(MASP)の所蔵品の数は少ないが、個人や財団がコツコツ集めたという見方をすれば、立派な美術館といえる」とアート分野にも言及。
 「日系芸術家の作品も多く、いかに日本人が頑張ってきたかが分かる美術館でもある」と高く評価した。
 治安の問題にも触れ、「サンパウロは危険な都市であることは事実だが、回避する方法と危険を察知する能力を身につけることが肝要」と自身の経験も交えたその秘訣を披露した。
 なお、ブラジルには十六の世界遺産があることやパンタナールの自然の素晴らしさ、南部のイタリア、ドイツ移住地巡りや南米各地の観光名所などにも触れ、多様な楽しみ方を語った。
 「探検欲がある赴任当初にこの街を歩くことが大事」としたうえで、ブラジルで楽しむ秘訣として、「日本人が三倍恥ずかしい思いをして、ブラジル人の平均。内気にならず、しゃしゃり出て、何事もダメもとで交渉に当たること」と締めくくった。
 「あばたもえくぼのブラキチよりも、客観的にブラジルを見るブラスキになって欲しい」とこれからブラジル生活を送る参加者にエールを送った。
 友人に誘われ参加した駐在員夫人の鈴木真紀子さん(29、ブラジル滞在二年)は来伯当時に出産を迎えたことや言葉、治安への不安で今まで外出することは少なかったという。「役に立つセミナーだったと思う。ようやく出られるようになったので、今回知った見本市などに行ってみたい」と探求心を覗かせていた。

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