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「パンデイロと人生」テーマに=ブラジル各地で映像記録=打楽器奏者の翁長巳酉さん

2006年11月11日付け

 打楽器奏者の翁長巳酉さん(42、おなが・みどり)=東京在住=が「パンデイロと人生」とテーマに、ドキュメンタリー映像作品を制作しようとサンパウロ市やリオで撮影を行った。
 パンデイロは、サンバをはじめ全伯の民族音楽に欠かせない打楽器で、多種多様な叩き方やリズムがある。その多様性を奏者の人生と重ね、深みのある映像にしようと取材を重ねている。
 「パンデイロを通して、それぞれの人生や音楽に込められた歴史的な背景を描きたい」。翁長さんはその意義を解説する。先月来伯し、すでにサンパウロ市で十人、リオで十人の有名無名のパンデイロ奏者に取材した。
 中には、サンパウロ・サンバ界の歴史の証人オズワルジーニョ・ダ・クイッカや、リオで最も伝統的なサンバチームの一つポルテーラのベーリャ・グアルダまでいる。かと思えば録音スタジオや楽器店、バールでたまたま行きあった奏者にも突撃取材を試みる。
 正面から、下から、後ろから。いろいろな角度で複雑なリズムを刻む指先を撮る、実にマニアックな映像だ。奏者は独自の工夫や加工を楽器に加えている。そんな秘密を余すところなく撮影する。
 この貴重な映像を編集して、DVDとして発売する予定。かつて十二年間もブラジルに住み、当地でプロ奏者として活躍した翁長さんならではの仕事といえそうだ。
 すでに、〇四年八月にサンパウロ州オリンピア市で行われた全伯民族音楽祭を撮影したビデオ作品もある。アマゾンの奥地をはじめ、各地から伝統舞踊チームが二百団体も参加し、一週間にわたって祭典を繰り広げた。独特の衣装と楽器、音楽が繰り広げる郷土芸能だ。
 「いわゆるサンバやボサノバとは、一味も二味も違った世界です」と比較する。その映像を見せながら翁長さんが講演する上映会が、すでに大阪や仙台、京都でも行われた。十二月十四日には東京・渋谷のup-linkでも予定されている。
 そのほか、バイーア州奥地の失われつつある労働歌などの貴重な映像もある。
 「日本のブラジル人学校の生徒に自国の文化を見てもらうのもいいと思う。もしくは日本各地の国際交流団体のイベントに呼んでもらえると嬉しい」と語る。問い合わせや申し込みはFAX(東京=0425・77・7287)まで書面で連絡を。

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