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今年の干支は〃いのしし〃=百周年も猪突猛進で=珍しいジャバリー飼育=200キロ超の巨体も

2007年1月1日付け

 今年の干支は猪。日系社会も来年の移民百周年に向けて〃猪突猛進〃に突き進もう!──との勢いで、元気に乗り切っていきたいものだ。そこで今回、あまり知られていないジャバリー(猪)の飼育方法とお薦めのレストランを紹介しよう。

 サンパウロ市近郊スザノ市在住の鈴木光男さん(56、三世)はブラジルでも珍しいジャバリー生産者。レストラン開業のために十年前、繁殖用に二頭のジャバリーを購入し繁殖に成功した。
 現在でもその二頭は健在で、それぞれ体重二百キロを越える巨体を誇る。えさの時以外は小屋の中で「ブヒー、ブヒー」と息をたてながら一日中寝ている。
 猪の繁殖期は年に三回ほど。一頭の雌で平均年に二十頭を産む。妊娠期間は約四カ月で、母親「シッカ」の小屋には、たくさんのウリ坊が所狭しと走り回っている。
 猪の赤ちゃんは、体の縦方向にそって縞模様が入り、まるで縞瓜(しまうり)のようなので「ウリ坊」と呼ばれる。春の木漏れ日の下では、これが保護色の役割をする。
 えさは一日二回。おからとアーモンド、小麦粉やとうもろこしの粉をブレンドしたものを一日二キロ与える。野菜はいくら食べても問題ない。材料は工場で余ったものを安価で譲り受けている。水は欠かせない。
 オスは生後四カ月ほどたったら去勢する。肉が固くなるのを防ぐためだ。オスもメスも、体重が六十キロを超える生後八カ月を過ぎたころが〃食べごろ〃だ。
 レストランには併設の飼育小屋から新鮮な猪の肉が直送される。絞めたばかりの猪は、血抜きのために一日干され、特性のにんにくソースにつけられ冷凍される。
 鈴木さんによれば、メスは乳首の数によって運命が決まる。生まれてきたときに十個以上、乳首がついていれば、たくさん子どもを産む〃いいお母さん〃になれるそうだ。つまり、それより乳首が少なければ食用だ。
 ところで、これらの猪も最後は食べられてしまうのだから、名前はついているのかと疑問に思い、質問してみた。するとオスは全部「シッカン」、メスは「シッカ」に統一しているとのこと。鈴木さんが愛情を込めて一言名前を呼べば、半分以上の猪が反応するわけだ。
 さて始祖となったシッカとシッカン。それぞれ三千レアルで買って来たときは小さくて可愛かった。今は貫禄たっぷりに寝ている。
 取材したときは昼下がりのためか、写真用にポーズを決めてもらおうと必死に叩いて起そうとしたのだが、まったく動じず「ブヒー、ブヒー」と息をするだけ。そこで鈴木さんがエサをもってくると、勢いよく飛び起きた。ちゃっかりしたものだ。
 こんな鈴木さんの猪たち。病気はほとんどしないらしく、元気そのものだが、寒くなる五月ごろには体調を崩すこともあるそうだ

猪料理食べてカラオケも
ピクニックに俳句会も訪問


 「竹の間の 風雅な食堂 焼きジャバリー」―。そんな表現が似合うレストランがスザノ市の山の麓にある。その名も「Rancho do Javali」。冒頭の句はこのレストランを訪れた俳句グループが詠んだものだ。
 オーナーはブラジル人女性のソニア・アパレシーダ・サントスさん。鈴木さんが十年前に開業した店を昨年譲り受けたもので、娘と知人など四人で切り盛りしている。
 メニューはシンプルなセットが基本。特性にんにくソースの下味がついた猪の肉と、自家製の野菜、ご飯、フェイジョンがついて七・五レアルとお手ごろ。豚や鳥、牛肉を使ったセットも同料金となっている。
 気になるお味のほうは?というと、茸やたまねぎなどが加わったジャバリーの肉はやわらかく食べやすい。思いのほか、臭みも気にならない。牛などに比べて脂分が少ないのも健康にいいようだ。
 これ以外にも、六人前の猪の豪快な焼き肉もある。こちらは二十五レアル。パーティーや家族連れにおすすめだ。一人でこれを食べるとしたら、猪パワーが体中にみなぎることは請け合いだろう。
 上記で紹介したメニュー以外にも、ももやあばら肉の切り売りもある。三百グラムで十五レアル、一キロで二十レアル、一・五キロで二十五レアル。地元以外からもサンパウロ市近郊からわざわざ肉を求めてやってくる客も多いそうだ。
 店内は鈴木さんが祖父母、両親から譲り受けた家を改造したもの。山からとってきた竹をたくさん使って作られており、すべて手作り。吹き抜けの窓から入ってくる涼しげな風が気持ちいい。カラオケセットやビリヤード台もあり、のんびりとした時間を過ごすことができる。
 さて、猪料理を提供する店となると、日本でもそうだがブラジルでも珍しい。どうして猪なのかと鈴木さんに聞いてみると、「ただの肉ではおもしろくない」とのご返答。
 話によれば、鈴木さんは十年前に豚や鳥などを飼育していた父親が亡くなったのをきっかけに、レストランを開業しようと決意。そこでせっかくならニュース性がないとダメだと考え、思い切って猪の提供を計画した。
 早速、南大河州の生産者から雄と雌のウリ坊を一頭ずつ購入した鈴木さんは、それを始祖に繁殖に成功。現在は約三十頭の猪を生産しており、肉を安定供給できる体制を整えている。


 ■鈴木さん紹介■
 生産者の鈴木さんは祖父母、両親から受けついだこの土地で生まれ育った。真っ黒に日焼けした肌に、タンクトップ一枚。草履姿が似合う。日系三世でカラオケが大好き。自慢の歌声は〃日本人〃そのものだ。
 猪の飼育は副業で、普段は市の公務員として水道の管理修理などをおこなっている。四日間の日勤、二日間の深夜勤務、その後に四日間の休みがある。趣味は釣り。サントス港で親しい友人と開く釣り大会が楽しみの一つだ。

 ■レストラン所在地■
 スザノ市ビラ・イペランジャ区キヨシ・セガワ街620番。サンパウロから電車とバスで約2時間。地下鉄ルス駅からCPTMに乗り、ヒベイロン・ピーレス駅下車。隣接のバスターミナルからスザノ行きのバスに乗り、ビラ・イペランジャで下車(約30分)。そこから、砂利道を歩いて5分ほど。
 ■営業日■
 水曜から日曜日まで営業。午前10時から夜8時まで。問い合わせは電話(11・4742・6558)まで。

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