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天野鉄人氏=「私の存在は元首相より上」=真意不明の独演会再び

2007年2月14日付け

 〇八年までのアイアン(鉄人)レースはまだまだ続く――!?「ブラジルに住む日本人は日本語の理解力がないらしい」「今の質問者は知能指数が低い」「福祉センターの運営は六五歳以上のお年よりに任せる」「日伯関係において、私の存在は小泉元首相より上」。またまた再度のご登場、リベルダーデに土地を所有する天野鉄人氏(68)が十二日午後、文協ビル大講堂で説明会ならぬ、ワンマントークショーを繰り広げた。今回も良識あるコロニア人が聞いたら、目を剥くような〝天野節〟で会場を圧倒。「自分の孫よりコロニアが大事」と「航空運賃の三倍の電話通話料」をブラジル関係者との連絡に費やし、〝夢〟実現のため妄想をエネルギーに迷走を続けるスタミナは、まさに「鉄人」の名にふさわしい。説明会の主催団体は、リベルダーデ・ラジオ体操会(細川晃央会長)。関係者に総動員をかけ、約百五十人が千二百人収容の会場の一部をまばらに埋めた。さてさて、いかがなものであったのか―――。
 以前とは少々、趣向を変え、落ち着いた様子でスタートを切った天野氏。自身が所有する青年図書館のあるピニャール移住地の山下治元文協会長名で書かれ、昨年十月、麻生太郎外務大臣宛に送られた「日系人福祉会館」建設嘆願書を読み上げ、「コロニアの皆様の意見には、国会議員ら皆が好意的だった」とアピール、相変わらず、政界との〝疑惑〟の太いパイプを誇示した。
 「私という人間を知ってほしい」とブラジルとの関わりなど半生を語ったあとの質疑応答で口火を切ったのは主催団体の細川会長。
 「独自でセンター建設を計画している援協に、割り込むのはどうか」と、いわば、味方からいきなりの苦言に「核心を突いた質問」と受けながらも、説明内容は質問を無視したものに終始するのはいつもの通り。
 「パリのエッフェル塔、エジプトのスフィンクスに比類する世界のシンボルとなる建築物となるセンターは日本の国益になる。それに気付いているのは政財界でも私を含めた少数」と怪気炎を上げ、「総領事館の虚栄心はリベルダーデでは満足しないでしょうが…」と付け加える。
 歴史文化財になっているリベルダーデ大通り沿いの建築物に関しては、「ブラジルの役人もバカばかりではないから分かるでしょう」と楽観視する。
 日系人の何よりの宝に日本政府は百億でも二百億でも払う。言われる前にこちらから言えばいい。それには嘆願書が必要。窓口は県連にお願いしたい――。
 県連センター案を提案して中沢宏一元県連会長は、土地の利などを挙げ、「日本国の拠点、南米日系の中心地として建設に協力したい」とこれに同調した。
 サンパウロ新聞社の鈴木雅夫編集局長から、「建設後の運営はどうするのか」と質問された細川会長は、「…やる見込みがついた時点で組織を作るつもり」と言葉を濁した。
 これを受け、天野氏はラジオ体操会、老ク連、ゲートボール連合に所属する六十五歳以上の高齢者が「日系人協会」を立ち上げ、センターを経営するという仰天案を披露。コロニアに高齢者雇用の可能性を示唆した。
 「あの土地をコロニアに下さい」――。文協評議員の小山昭朗氏は壇上に向かって幾度か、叫んだ。「個人の土地だから日本政府が金を出さない。日系団体のものだったら話は別だ」との熱弁に会場からは拍手が起きた。
 「ブラジルの日本人は日本語を話しているようだが、理解力がない。今の人は知能指数が低いのでは」と返す刀で天野節が炸裂、「私は提供する、と言っている。金もうけが目的というがそんな噂も煙もない。心配することはない。でも今あの土地をコロニアに渡しても三割も活用できない。土地が泣くことになる」とヒートアップ。
 「今の(百周年協会がやっていること)の延長線上には何もない。方向性を間違えているから。もうちょっと考えて、天野を信じてほしい。日伯関係においては、私の存在は小泉元首相よりも上。半数以上の国会議員がそれを認めている。僕を失ったら、国益を失うことになる」―――。 スロースタートだった今回も、「コロニアを馬鹿にしてる」と観客が会場から一人、また一人と姿を消すたびに迫力を増す天野氏の独壇場で終わった。
 奇抜な独演会を堪能しつつも会場からは「やっぱり今回も真意が分からなかった」とボヤく声も。
 何はともあれ、天野さん、コロニアの意見を聞きたいなら、何故いつも帰国日に説明会を開くの?

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