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百周年テーマに観衆を魅了=サンパウロ市カーニバルでVマリア=鳥居から芸者、新幹線まで=伯字紙「最有力の優勝候補」

ニッケイ新聞 2008年2月5日付け

 「イラッシャイマセ」「アリガトウ!」――。サンパウロ市サンバ会場で二日から開催されたカーニバルで、初日に移民百周年をテーマにしたサンバチーム「ヴィラ・マリア」が出場した。日本移民や日本文化をモチーフにした山車や衣装が次々に披露され、過去例をみない約千人の日系人をふくめ、参加チーム最多となる四千九百人による迫力あるパレードが繰り広げられた。超満員の約三万人の観客は魅了され、その大合唱が会場中に響きわたり、翌日の新聞評にも「優勝の最有力候補」との見出しが並んだ。六月の記念式典にむけても大きな弾みがつく象徴的なパレードとなった。
 昨年は僅差で二位に甘んじたが、今年は満を持して初優勝を狙う同チーム(一九五四年創立)は「イラッシャイマセ、移民百周年における文化と智慧の千年期」をテーマにした。
 歌舞伎風衣装に身を包んだコミッソン・デ・フレンチの整然とした扇の舞に続き、過去最長となる百三十六メートルのアブリ・アーラスという山車で、いきなり観衆の度肝を抜いた。巨大な鳥居に続いてお城風の山車、仏像など迫力の東洋絵巻が繰り広げられた。
 パレードは、古い日本とその習慣をモチーフにした行進を先頭に、移民の始まり、日系社会の広がりなどを順々に描いた。
 山車には、鶴の上に乗った巨大な笠戸丸、七福神、案山子(かかし)、はたまたロボット犬に新幹線などが登場。その間には七夕、デカセギ、忍者、子供の日、マンガ、侍、芸者、富士山など日本にまつわるイメージをモチーフにした衣装を着た二十七の隊列が踊り歩いた。
 とくに注目を浴びたのはバイアーナの隊列で、前代未聞の「芸者」風衣装。顔面白塗りのゲイシャたちは、数十キロの重たい衣装にも負けず、扇子を手にクルクル回る伝統の踊りを披露した。
 「日系人は普通サンバなんかしない。今年は百周年だから特別に参加したんだ」。パレード前にそう興奮した様子で話していたのは賀屋勇蔵さん(28、三世、サンパウロ市リベルダーデ区在住)。十六歳から二年間デカセギに行った父親につれられて愛知県小牧市に暮らした。今回は知人の日系男性をさそって初参加した。
 「百周年をきっかけに自分のルーツや日本のことに今までより興味を持つようになった。今日はヴィラ・マリアがどんな風に日本を伝えたいのか監督する気持ちできました」。
 今回のカーニバルのために、わざわざ仕事を休んで一時帰伯したデカセギ日系男性もいた。日本に十四年間暮らしている花田リョウジさん(40、二世)=静岡県菊川市在住=は、サンパウロ市に暮らす姉と妹に誘われて初参加。「会社は怒っているよ。でもこんな機会はないしね。絶対に参加したいと思いました」。
 打楽器隊の先導役マドリーニャ・ダ・バテリアに抜擢されたユカちゃんこと杉浦友香さん(36、一世、バイア州在住)は、サンバ衣装の上に着物姿の出で立ちで登場。扇子片手に優美な舞を披露して会場を盛り上げ、ブラジルメディアから大きな注目を浴びていた。
 百周年をテーマに千人近い日系人が参加したことに「十三年間サンバを踊ってきて、やっとここまで来たと感じる」と話す杉浦さん。「百周年のカーニバルに出られて光栄に思うし誇りに感じる」と笑顔を浮かべた。
 また山車の一つでは、和太鼓グループ「生」のメンバーらが、太鼓を叩くようなパフォーマンスを行い、会場を沸かせていた。
 約一時間の行進に、観客はともに叫び、踊る人で溢れかえった。ブラジル人女性のゼニ・サバギさん(70)は行進後、「マラヴィーリャ(素晴らしい)」と連呼。日本風の衣装を気に入った様子で、「日本人が移住しなかったらブラジル人は野菜不足に苦しんでいたはずよ」としきりに日本人移住者を称えていた。
 本日五日午前、サンパウロ市カーニバルの順位はグローボTVが中継して発表される。なお、同チームの一部は、六月二十一日にサンバ会場でおこなわれる百周年の記念式典にも出演する予定。

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