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プローヴァ・デ・フォーゴ=沖縄移民に想いを込めて=県人会から6百人が参加

ニッケイ新聞 2008年2月5日付け

 「沖縄」をテーマに取り上げて、スペシャルグループ入りを目指したサンバチームがあった。アセッソグループの「プローヴァ・デ・フォーゴ」だ。三日、サンパウロ市サンボードロモのパレードに出場し、約二千人の出場者のうち沖縄県人会から約六百人が参加。「アリガトウ」の大合唱にあわせて、全員が礼をして行進するユニークなパレードを繰り広げた。
 エンヘードのタイトルは、「日本移民百周年―守礼之邦・沖縄」。数カ月ほど前から県人会会館などで練習を重ねてきた。
 パレードでは、真っ白に顔を染め、青白い華美な着物をまとって傘をさしたブラジル人女性が登場。首里城守礼門を先導し、パレードの始まりをつげた。続けて観る人を威圧するように動き回る巨大なシーサーが現れ、その山車側面には、琉球王朝の女官風の格好をした県人会の女性が立ち並び、手をふって観客の声援に応えた。
 さらにはミルク(弥勒)、浦島太郎の竜宮城をイメージさせる山車が行進。間に県人会のメンバーらのアーラが続き、琉球国祭り太鼓や琉球空手の生徒らが舞を披露した。農民をイメージした格好をしたブラジル人のアーラもみられ、中には山車の一角で直立不動のまま三味線を奏でる人も。
 同パレードの歌には沖縄の歴史や自然、文化を称えた内容が盛り込まれている。遠くブラジルへの海を渡ってきた沖縄系笠戸丸移民の心情や沖縄の歴史、化などポ語で表現されている。「ウチナーンチュ」や「ゴーヤ」、「ミルク(弥勒)」といった言葉も随所にあり、「沖縄移民の想いが一杯につまっている歌詞」と与儀昭雄県人会会長は説明する。
 「この歌をはじめて聴いたとき涙が出た」と話していたのはカーニバル初参加の金城ジョルジさん(48、二世)。昨年末ごろに県人会の誘いをうけて参加を決めた。「ご先祖様を想って踊りたい。いい気持ちです」。
 なかには二日前のヴィラ・マリアのパレードにも参加した女性もいた。サンパウロ市イピランガ支部の梶原寿美子さん(53、二世)だ。昨年参加したチームの衣装を購入しながらも、後にヴィラ・マリアが百周年をテーマにすると知り、チームを変えて参加を決めたという。
 与儀会長は「白人黒人が沖縄に興味をもってカーニバルのテーマにしてくれたのが嬉しい。今日は日本や沖縄をアピールするいいチャンス。楽しく踊りたい」と笑顔を浮かべ、パレード開始を待っていた。
 スペシャルグループには、アセッソグループに出場した八チームのなかで、上位二チームに入ることが条件という。

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