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県連ふるさと巡り=リベイラ沿岸とサンタカタリーナの旅=第8回=ラーモス移住地=農業特産物を常に模索=苦難乗り越えて文化継承

ニッケイ新聞 2008年5月21日付け

 四月二十二日、朝一番にラーモス移住地で長崎平和の鐘公園を訪ねた一行は、午前十一時に日本人墓地を参拝した。同地最古参の一人、本田文男さん(70、茨城県出身)が般若心経を読経し、ラーモス日伯文化協会の尾中弘孝会長が敬礼する中、一行を代表して長友団長らが焼香した。
 八一年に建設された立派な会館にすぐに移動。前日に運動会をやったばかりにも関わらず、全部で八十人の移住地で三十人以上が出て歓迎会を準備してくれた。まず一行は、古参移住者数人から語られた苦闘の入植史に聞き入った。
 六三年に州と日本政府との協定が成立し、六四年四月九日に南大河州にいた小川さんらが第一陣として入った。「四十四年前にここに来たとき、まだ大木が生え茂っていた」と小川さん。「人に恵まれた。ここに来て本当によかったとおもっている」。
 次は七〇年に第二次分譲が行われ、さらに十家族が加わり、全五十三ロッテ中の三分の二を日本移民が占めた。
 本田さんによれば最初はトマト、バタタを中心にする構想だったが、市場に出荷しようにも当時は道が悪いなど悪条件があり、「苦い経験を重ねた」という。
 州の「温帯果実を開発してほしい」との意向をうけ、ネクタリーナ栽培をはじめ、「最初の十年間は命がけでつくって大きな成果をあげた」。ところが、七四年十月の大降雹でネクタリーナが全滅した。
 翌七五年からはリンゴむつ種の出荷を始めたが、七七年からリンゴ成木に根腐れ病がでて収量減少傾向となる。アチバイアからカーネーションなど切り花栽培を持ち込み、ポルト・アレグレの市場に出荷するなど常に模索をしている。
 七〇年代後半からは有名な長南種ニンニクの栽培一色になった。その後、八〇年代中頃から豊水種の和梨の栽培が始まり、現在十人ぐらいが従事している。
 八六年に全伯唯一の剣道専用道場「文武館」を建設。本田さんは「多数のブラジルを代表する剣士がここから育った」と振りかえる。「日本人から武士道を取ったらなにが残るか、そういう気概で生きている。茶道、日本舞踊も続けている。日本文化を忘れず、二世、三世にも受け継いでもらう生活をしていきたい」との意気込みを語った。
 昨年、全伯剣道大会の五十歳以上の部で優勝した尾中同文協会長(六段)はウルグアイ、チリなどにまで剣道指導に行く。「七一年に一人で移住した。まだ十九歳だった」。毎年道場で合宿を行っているが、どんどんブラジル人が増えている。「彼らは『武蔵』も読んでいてすごく真剣」と高く評価。今も「道場に入って竹刀を持つとスゥーっとするんですよ」と初心を忘れない。
 総務の山本和憲さんもマイクを持ち、七月二十六日にイナウグラソンをする八角堂(物産館)、多目的運動場に日本式屋根をかけるプロジェクト、日本村構想などについて熱く語った。
 「八角堂を起爆剤にして観光農村化し、仕事を増やしたい。八十人しかいないが抱えきれないほど夢がある。日本文化を体験しもらえる場所にして発展させたい。みなさん、ぜひまた来て下さい」と呼びかけた。
 その後、用意された食事。地元のCBSテレビ局が作成した移住地紹介番組「Semente Japonesa」を全員で鑑賞。八一年に日本の文化放送・日伯毎日新聞共催の日伯青少年交流キャンペーンの作詞コンクールで優勝した本田清香さんの「私の町ラーモス」(ラーモス日語校の校歌、神津善行作曲)が披露された。
 続いて「朝霧流れて日は映ゆる松の緑」「歌声絶えぬ平和の地」などとラーモス青年会歌「築かなんいざ」が元気よく合唱され、「まさに歌詞の通りの移住地だ」と一行は感心した。
 最後に九十六歳、最年長参加者の河合五十一さんが舞台上で縄跳びをして見せ、全員で恒例の「ふるさと」を合唱した。参加者の小山徳さん(68、長野県出身)は「人数は少ないのに代表的な農産物を持っているのは立派。日本舞踊、和太鼓、剣道と日本文化も多彩に継承している点がすごい」と語った。(つづく、深沢正雪記者)



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