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手に汗にぎった全伯相撲=スザノ=11地域450人が熱戦=男子は樋口が2階級制覇

ニッケイ新聞 2009年7月29日付け

 第四十八回全伯相撲大会、並びに第十二回全伯女子相撲大会が二十五、二十六日両日、サンパウロ州スザノ市のSESI(ブラジル工業連盟)体育館特設土俵で開催された。全伯相撲連盟(篭原功会長)が主催。北はパラー、南はリオ・グランデ・ド・スル州まで十一の地域から約四百五十人の選手が出場し、ブラジル一の座を競い熱戦を繰り広げた。土俵場で繰り広げられる日本の伝統技に、二日間で約六百人の観客が見入った。
 全伯大会の開催にあたり、相撲連盟では火曜日から土俵作りを開始。トラック三台、二十一トンの土を七×七メートル×高さ四〇センチに押し固める重労働だ。前日の二十四日夕方、土俵を清める土俵祭りが開かれ、大会初日を迎えた。
 二十五日午前八時から行われた開会式には、篭原会長など連盟関係者ほか、スザノ市のワルテル・ロベルト・ビオ副市長、原田稔スザノ文協会長、スザノSESIのロベルト・シャビエル・アウグスト・フィーリョ所長らが出席した。
 今年は、出場選手のうち約七割が非日系人。ニッケイ新聞の取材に対し篭原会長は、「デカセギブームで出場する日系人が減ってしまったが、全伯から選手が参加し、日本の文化を受け継ぎ頑張っています」と力を込める。
 初日に団体戦、二日目に個人戦が行われ、地方大会を勝ち抜いてきた選手たちがレベルの高い好試合を繰り広げた。
 同じくらいの体格の選手同士が組み合ったまま勝負がつかず、水入りになる場面が何度もあった。また体格差が二倍以上もある取り組みでは、小さな選手が華麗な技で大きな選手を倒す場面もあり、会場を沸かせた。
 各地からの選手団は、試合のない時は応援団として試合に参加した。パラナ州から来た選手団は、丸々太った力士のイラストが入った揃いのジャージを着て応援。約二十人が一致団結して仲間にエールを送り、会場の注目を集めていた。
 個人戦では、前回大会で男子重量級を制した樋口高大ウィリアン選手(25、二世)が順調に勝ち進み、重量級、無差別級の二階級を制覇した。
 両階級共に三度目の栄冠。樋口選手はニッケイ新聞の取材に対し、「初日に頭を打って体調は万全でなかったが、勝てて嬉しい」と喜び、九月に亜国で開催される南米大会に向け「もっと稽古して優勝したい」と意気込みを見せた。
 女子の部では昨年、重量級、無差別級の二階級制覇をしたジャナイーナ・シルバ選手(パラナ)が重量級を制し、姉のジャケリーネ・シルバ選手が無差別級を制した。
 団体部門は男女ともにスドエステが優勝。男子団体二位はパラナ、三位はサントアマーロ。女子はパラナが二位、ノーバ・セントラルが三位に入賞した。
 初めて相撲を観に来たというスザノ在住の篭原ルイスさん(58、三世)・明美さん(二世)夫妻は、「日系人が少なくて寂しいが、迫力があり楽しい」と感想を語った。
     ◎
 個人戦各部門の優勝者は次の通り。(カッコ内は所属チーム、敬称略)
【男子】▽幼年=マテウス・クルス(ノルテ)、▽少年=ルイ・デ・サーJr(パラナ)、▽準青年=工藤ガブリエル(サントアマーロ)、▽成年・軽量=ナメルソン・チブルシオ(スドエステ)、▽中量=アラン・ガルボン(スドエステ)、▽重量=樋口高大ウィリアン(サンパウロ)、▽無差別=樋口高大ウィリアン。
【女子】▽幼年=ラファエリ・アルベス・サントス(スドエステ)、▽少年=ジュリアーナ・ロドリゲス(スドエステ)、▽準青年=マリア・リタ・ドミンゲス(スドエステ)、▽成年・軽量=渡辺ルシアーナ(ノーバ・セントラル)、▽中量=ジュラーナ・メデイロス(スドエステ)、▽重量=ジャナイーナ・シルバ(パラナ)。▽無差別=ジャケリーネ・シルバ(パラナ)

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