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在外被爆の証言、世界に=亜国映像作家、ロベルト氏=コロニアの支援も期待

日系社会ニュース

ニッケイ新聞 2009年11月17日付け

 在外被爆者の存在を世界に―。サンパウロ在住の映像作家、ロベルト・フェルナンデスさん(49、アルゼンチン出身)が現在、ブラジル国内に住む被爆体験者の証言を盛り込んだドキュメンタリー映画を作るため奮闘している。
 個人プロジェクト『がんばれ』のなかで、広島、長崎それぞれをテーマにした「1945年8時15分」「1945年11時2分」に加え、8歳で被爆、ブラジルで画家として活動を続ける伊藤薫氏に焦点をあてた「伊藤氏」の三部作となる。
 ロベルトさんは、ブエノス・アイレスで映像関係の仕事をしていたが、 「アルゼンチンと比べて、ブラジルの方が政府や企業による文化事業への理解が深い」と06年にサンパウロへと活動の拠点を移した。
 そんななか、知り合いの日系三世の女性から、08年の日本移民100周年があることを聞く。何らかの形で参加したいと思い、テーマを探していたところ在外被爆者の存在を知る。
 「南米はもちろん、世界中の学校で被爆の歴史は学ぶが、その後のことは知られていない」と証言を記録しようと思い立ち、現在までに14人に取材を行った。
 日本語で収録しているだけに苦労も多い。ロベルトさんは、取材後、ポルトガル語に翻訳されたものを見ながら、編集を行うため、時間や費用、労力もかかる。
 「取材時も(日本語が理解できないため)証言に対する質問などができないことが辛い」と吐露しながらも、「何とか被爆55年目となる2010年8月の完成を目指したい」と意気込む。
 総費用19万レアルのうち、自費で4万レアルをつぎ込んだ。
 「ほぼ完成に近づいているが、資金的に厳しいのも事実。コロニアの企業、個人の協力を仰げれば」と資金援助も呼びかける。
 完成後は、作品はブラジル日本移民史料館とブラジル被爆者平和協会に寄付されるという。
 「多くの人に事実を知ってもらうため、世界中の報道機関や教育関係者にアピールしていきたい」と話している。
 作品や資金援助などに関してはロベルト(11・7692・4951/ポ語)、コジロー出版(11・3277・4121/日本語)まで。

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