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【特集 兵庫県人会】創立50周年、盛大に祝う=尾西会長「百周年に向け新たな一歩」=井戸知事ら慶祝団70人=交流の継続を確認

ニッケイ新聞 2010年11月26日付け

 「100周年に向かっての新たな第1歩」――。ブラジル兵庫県人会の尾西貞夫会長は、21日に北海道交流センターであった同県人会創立50周年で、そう高らかに宣言し、これからも日伯交流に尽力することを確認した。母県からは、井戸敏三知事、山本敏信県議会議長をはじめとする慶祝団約70人、主要日系団体関係者ら300人以上が駆けつけ、共に節目を祝った。

 サンパウロからは、在聖総領事館の大部一秋総領事、木多喜八郎文協会長、与儀昭雄県連会長、森口イナシオ援協会長、羽藤ジョージサンパウロ市議会議員、大田慶子次期連邦下院議員らが来賓として出席した。
 井戸知事はあいさつのなかで、『ブラジルの秋空の下県人ら大地と共に今日を迎える』と自作の短歌を披露、宝塚市に住む日系ブラジル人少女による一家3人が死傷した今年7月の放火事件に触れ、「言葉による『壁』を小さくしていくため、日本語教育の環境整備にさらに力を入れていきたい」と話し、在日ブラジル人への施策、研修事業などの継続を確認した。
 井戸知事にはサンパウロ市議会、同県人会から感謝状、記念誌等が、尾西会長には県から記念品、感謝状などがそれぞれ贈られた。
 女性最高齢者の秋末とみえさん(101、篠山市)は「嬉しい。長生きしてよかった。ブラジルは良い所。子どもも立派になり、苦労してよかった」と80年以上にわたる生活を振り返った。
 元研修生を代表して天野ニナさん(27、二世)は、「学んだ鍼灸の知識を元に働いている」と発表、県への感謝の気持ちを表した。
 祝賀会の余興では、今月13日に来伯した農業研修生らが派手なハッピを身にまとい、創作YOSAKOIダンスを披露、会場を大いに盛り上げた。
 元県費留学生らのコーラス、慶祝団による「ふるさと」の合唱も。
 サンバショーで会場が熱気に溢れるなか、自費で参加した淡路市議会の竹中史雄議員は、「元気のない地方都市を盛り上げるアイデアがあれば」と県人会会員らの話に耳を傾け、熱心にメモを取っていた。

ごあいさつ=兵庫県知事=井戸 敏三

 ブラジル兵庫県人会が創立50周年を迎えられました。本当におめでとうございます。
 1960年の創立以来、半世紀にわたり、ブラジル日系人社会の発展、そして兵庫県との交流に力を注いでこられました。言葉に尽くせない苦労と努力を積み重ね、皆様は今、ブラジル社会で大きな信頼を築き上げておられます。また、ブラジルと兵庫県の間には、友好的な交流が育まれています。
 これも一世の夢と高い志をしっかりと受け継ぎ、人と人とのつながりを大事にしながら活動してこられたからこそです。尾西会長をはじめ歴代会長そして会員の皆様の真摯な努力に改めて敬意を表します。
 21世紀は交流と共生の時代です。経済はもとより環境や食糧問題など、あらゆる分野の課題に世界が力をあわせて取り組んでいくことが求められています。
 とりわけブラジルは、めざましい経済成長を続けるとともに、2014年にサッカーW杯、2016年にオリンピックの開催を控えるなど、21世紀の世界を牽引していく大国です。今後の日本・兵庫にとってますます重要なパートナーとなるに違いありません。
 それだけに、ふるさと兵庫への熱い思いを持ち、ブラジルと兵庫県の架け橋として豊富な経験とネットワークと有する皆様の活躍に、これからも大いに期待しています。
 兵庫県としても、県人会の皆様のご協力のもと、海外技術研修生の受け入れや農業高校生の派遣等を展開しています。この経験を持つ方々は、いま兵庫とブラジルの発展と交流促進の大きな力となっています。
 また、昨年6月に再整備した「海外移住と文化の交流センター」も好評です。海外移住の歴史を紹介したミュージアムでは、往時の移住者の映像や道具がたくさんの方々に感動を与えています。南米をはじめとする在住外国人の方々への能力開発や日本語習得等の支援も効果を上げています。
 地球上で最も離れている日本とブラジル。しかし、日系人の皆様を通じて強い絆で結ばれています。これからも皆様との絆を大切にしながら、交流の促進に全力を尽くします。引き続き、ご支援とご協力をお願いします。
 ブラジル兵庫県人会の益々のご発展と、皆様のご健勝でのご活躍を心からお祈りしています。

ごあいさつ=ブラジル兵庫県人会=会長 尾西貞夫

 本日、ブラジル兵庫県人会創立50周年記念式典を皆様とともに開催できますことを嬉しく思います。
 このたびの式典に、はるばる兵庫県から井戸敏三知事様、山本敏信県議会議長をはじめ、約70人の慶祝使節団の方々が来伯されましたこと、心から感謝申し上げます。
 兵庫県からブラジルに移住したのは戦前・戦後合わせて約3千人と他県に比べて少ないのですが、現在のブラジル日本文化福祉協会を設立するときの準備委員15人のうち兵庫県人が4人、その名を連ねておられます。
 また、同協会設立時の理事20人のうち4分の1にあたる5人が兵庫県人でした。兵庫県からブラジルに移住した先輩移民の方々が日系コロニアの発展に寄与された優秀な人材を多く輩出した証であります。
 ブラジル兵庫県人会は、こうした日系コロニアで著名な方々が中心となって半世紀前に設立されました。1960年のことです。当時の金井元彦知事様がアメリカで開かれる日米知事会議の帰路にブラジルにお越しになるというので、山本勝造氏が初代会長に就任され、創立されました。 
 以来、50年間にわたり、県人同士の親睦のみならず、母県との交流を深めてまいりました。この間、母県には二世、三世の県費留学生・技術研修生を受け入れていただき、彼らは帰国後、ブラジル社会の中堅幹部として活躍し、県人会活動にも多大な貢献を果たしてくれています。本日の式典でも、これらOBが活躍してくれており、今後の県人会活動を担う人材として期待されています。
 また、1995年1月に起こった阪神・淡路大震災は、未曾有の被害を出し、多くの尊い人命が奪われました。ブラジル兵庫県人会はいち早く義捐金を募り、我々県人会だけではなく、ブラジル日系コロニアが一丸となって募金活動を行い、総額9200万円という多額の義捐金を送ることができました。
 この日系コロニアの協力は、神戸が移民にとって最後の日本を過ごした特別な地であったからです。戦前から戦後にかけ、神戸収容所が多くの移民を送り出しました。
 同収容所は、日伯協会をはじめ兵庫県、神戸市の支援により、現在は「海外移住と文化の交流センター」として運営されております。この建物の保存運動を最初に呼びかけたのは、我々県人会でした。
 「海外移住と文化の交流センター」の建設時にも日伯協会の呼びかけに呼応し、微力ではありましたが、ブラジル県人会をはじめ日系コロニアの皆さんから寄付金が寄せられました。
 本日から我々は50年後の100周年に向かって新たな一歩を踏み出します。県人会は一世から二世、三世へと引き継がれますが、より一層母県との交流を深化させ、絆を強くしていかなければならないと心を新たにしております。
 最後になりましたが、ブラジル兵庫県人会の役職員、会員の皆様のご協力、ご支援に心から感謝申し上げ、挨拶といたします。

高齢者知事表彰

 千葉昭三、藤田繁、藤田愛子、藤原浩文、藤原恵美子、藤原駿伍、芳賀一明、石井幸代、金治豊、金治せつ子、金治つぎ子、清瀬剛、紺野エザウ、紺野イツ子、溝口かおる、西沢てい子、荻野あや子、大谷憲、坂口喜久子、坂口重義、酒井孝雄、酒井啓子、沢口喜久男、沢口アヤ子、山根民子、高松浩二、田中たくみ、谷岡信夫、谷岡ゆり子、建林成幸、常深徹、魚谷照代、若林敦子、矢中セヴェリーノ、吉田ミヤ子、山本明夫、西勝行(37人、80歳以上)
 丹羽義雄(104)、山本善三郎(103)、秋末とみえ(101)

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