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会館売却問題=怒号飛び交う神奈川新年会=天野氏の発言で大モメ=「我慢も限界」と役員ら=天野氏「宇宙に来たよう」

ニッケイ新聞 2011年2月8日付け

 こんな事ならもう止めにしませんか—。6日に行われたブラジル神奈川県文化援護協会(永田淳会長)の新年会は和やかなものであったが、閉会後は一転、天野氏と役員らとの間で激しい怒号が飛び交った。ニセ弁護士、元副会長らが関わったとされる約65万レアルの公金紛失事件で揺れる同会。裁判費用等捻出のために昨年2月の臨時総会で会館売却が決定したが、その買い手である天野鉄人氏(サンパウロ青年図書館理事)との間でも会館利用の詳細についての話がもつれている。コロコロと言い分を変える天野氏との信頼関係が結べず、「(天野氏は)人をコケにしている」と役員らの困惑は深まるばかりだ。

 サンパウロ市のメトロ・イミグランテ駅近くの好立地にある同会会館で6日、新年会が開催され、天野氏含め会員役員、関係者ら30人ほどが参加した。同県出身ではない天野氏だが、この日をもって会員となる事が認められ、みんなでビンゴなどを楽しんだ。このまま和やかに終わるかに見えた新年会だが、問題はその閉会後に起きた。
 同館は天野氏が売却価格の80パーセント(約98万レ)を出し、同協会は1室を常時使用できる権利を持って共同所有すると契約されている。
 しかし、その部屋の使用法を巡って天野氏と役員らが対立した。口論の発端は、書庫として使用していた棚(約横170、縦200センチ)を使用権利のある部屋に移すことを望んだ役員の考えを天野氏が認めなかったこと。「20パーセントの権利は神奈川に残る。(協会は)自由に毎日でも会館を使っていい」と何度も繰り返してきた天野氏だが「棚を置くと部屋が狭くなる。この部屋が活きない。認めない」と語気を荒げた。
 「じゃあ何のための20パーセントなんですか!」(白又孝範監査)「それなら100パーセントでもいいんですよ!」(天野)、「それじゃ話が違う! あんたの言ってること普通じゃないよ」(白又)、「そうです! 僕は普通じゃありませんから!」(天野)などと口論は一気にエスカレートした。
 他の役員らが仲裁に入り一端は落ちついた。ところが、天野氏は、自分が県人会から預かっている会館売却金の支払い日を遅らせてくれと契約書のサインを渋った。
 白又監査を抑える側だったはずの大矢進貞副会長はそれを見て我慢の限界に達し、普段の温厚な表情を一変させ、いきなり天野氏から書類を取り上げ、握りつぶし、ゴミ箱に叩きつけた。
 「できる事なら、もう止めにしませんか!」。大矢氏は他の役員らに問いかけるように「大きく行こうよ天野さん。アンタ金持ったんだからさ!」と机をバンバン叩き、「こんな汚い話があるか! 全く何考えてるんだ! せこいよアンタ!」とまくし立てた。
 目をつぶり苦虫を噛み潰したような表情でそれを聞いた天野氏は、それを見て微笑を浮かべ、「僕は宇宙に来たような気がしています」と他人事のように感想を述べ、自らの正当性を主張した。
 「(契約を)白紙に戻すなら違約金も取らない。でもこれ以上の条件は他に絶対ない!」と言い、神奈川の為になる、協会は何も損しない、と繰り返した。
 協会側の銀行口座に問題があり、昨年7月に売却契約を交わしたが、会館売却資金はまだ天野氏が保管している状態だ。その時に天野氏は「6%の利子を付ける」と約束していたが、今回「やっぱり利子は今年1月1日から」と言を翻した。
 鰻のようにつかみ所がない天野氏の論法に役員らは振り回されっぱなしで、苛立ちが募るばかり。大矢副会長は「あまりに天野氏の言う事はコロコロ変わりすぎる。金を持っているから人をコケにしてるんだ」と呆れたように話した。永田会長は処々の問題で「会員らが会から遠ざかっている」と心配し、早期の解決が目指される中、対話を続けていかざるを得ない状況に陥っている。

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