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デコ画廊30年の歩み展=田口代表=「12月はもっと大々的に」

ニッケイ新聞 2011年5月10日付け

 日系の画廊としては現在唯一となったデコ画廊で16日まで、創業30周年を記念した作品展「30年の軌跡とこれからの歩み」が開かれている。
 田口秀子さんと夫の田口レネさんにより1981年12月17日に創業したデコ画廊。日本でもデザインの仕事をしていたという秀子さん(山梨県出身)は、「好きだったから」ときっかけを振り返る。以来30年の間、多くの日系芸術家と交流を続けてきた。画家の故間部学氏も同画廊で合同展を行ったという。
 80—90年代のインフレ時代、作品の売買は米ドルで行われたという。「午前と午後で値段が違うんですから。(ブラジル通貨だと)2、3日支払いが遅れるとたいへん」と笑う。
 現在はブラジルの作家だけでなく、日本の若手作家の作品を紹介する画廊としても知られる。きっかけは91年、サンパウロ・ビエンナーレ参加のため来伯した三梨伸さんらと知り合ったことだった。そこから輪が広がり、「今では、ここに行けば日本人、日系人の作品があると知られるようになった」と話す。
 最初は現在の建物の半分は他人の家で、10年目に今の広さになったという。「開いた当時は画家も買う人も元気でしたよ。今は買う人の世代も代わってきましたね」と秀子さん。「世代が若くなって、インターネットを通じて見て買いに来る人もいますよ」
 今回の記念展には絵画、彫刻、造形など、これまで同画廊と関わりのあった日本人、日系人作家など31人の作品を展示。若林和男、大竹富江、豊田豊など著名なベテランから若手、そして近年紹介された日本の作家まで、幅広い作品が並ぶ。「懐かしい人、珍しい人も来てくれました」、初日の会場で秀子さんは話していた。
 この展示会を第一弾に、今年はさらに日伯アーチストの合同展、ワークショップなども計画。30歳の誕生日を迎える12月には「もっと大々的な展覧会を開きたい」と秀子さんは和やかな笑顔を浮かべた。
 期間中の開場時間は午前10時から午後7時。同画廊住所=R.dos Franceses,153,Bela Vista)、電話=11・3289・7067。

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