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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年6月8日付け

 わずか4年間で資産を20倍に増やしたことで説明を求められているアントニオ・パロッシ官房長官(PT)は、グローボやフォーリャ紙の取材をうけて弁明した。しかし、個人的な経営コンサルタント会社の正当な収入であり、顧客の名前は一切明かせないと開き直ったものだから、釈明が足りないとますます野党から追求され、ついに辞任に追い込まれそうな雲行きだ▼昨年のジウマ大統領の激烈な選挙戦を仕切った立役者であり、その功労賞と取れなくもないようなタイミングで資産を増やしたとされるため、世間の注目は集まる一方だ。短期間にそれだけ資産を増やす〃秘訣〃は、政治家でなくとも国民誰しもが知りたいところ。隠し立てする必要ないというなら正々堂々と包み隠さずに教えて欲しいものだ▼最近さる日系連邦下議の関係者と話していたら、ジウマ大統領のガン再発の可能性について盛んに論じていた。万が一、大統領に健康問題が発生したら、ミッシェル・テメル副大統領(PMDB)が昇格するから、政界の方向性は大きく変わる可能性がある▼閣僚の要たる官房長官をまず失脚させ、その上で大統領を揺さぶって——などと権謀術数がもし講じられているのであれば、最近やけにPMDBの鼻息が荒いのも合点がいく部分がある▼検察の捜査も見送りになったが、あとは辞職して〃疑惑〃に蓋をするのが従来のパターン。でも本来辞任とは関係なく、そこに罪があるのなら追求されるべきだ。ブラジルが本気で世界のリーダー国になりたいのなら、中途半端なところで手打ちにする政界の悪習こそ辞めたほうがいい。(深)

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