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ホピ・ハリ転落死事故=「人的ミスはありえない」=父親が本紙取材に答える=一部報道に憤り隠さず=「娘にブラジル見せたかった」

ニッケイ新聞 2012年3月1日付け

 【既報関連】「話好きの娘の夢は、ジャーナリストだった」—。24日午前、遊園地『ホピ・ハリ』(サンパウロ州ヴィニェード)で人気遊具「エッフェル塔」から、20メートル以上の高さから転落死(28日付本紙2面既報)した西村ガブリエラ・ユカリさん(享年14)は日本で生まれ育った。一時帰国での悲劇だった。「殺人、ファベーラ、貧困というイメージしかない娘に、ブラジルがいかに大きく、多様性があるかを見せたかった」と話す西村アルマンド、シウマラさん夫妻(静岡県磐田市在住)は、一部報道や遊園地に対する怒りを本紙にぶつけた。

 日系人の父、アルマンドさんはデカセギとして91年に単独で渡日し、1年余り滞在して帰国。非日系のシウマラさんと結婚し、93年に再び渡日した。
 亡くなったガブリエラさんと7歳の妹、アルマンダ・ハンナさんは共に日本で生まれ育ち、一家が最後に里帰りしたのは03年、ガブリエラさんが5歳のときだった。
 この日、ホピ・ハリに行ったのは夫妻とガブリエラさん、従姉妹の4人で、最初に乗ったのがエッフェル塔だった。
 そのさい、シウマラさんがガブリエラさんの座席の下に安全装置を留めるバックルがないことに気づいたが、係員から「問題はない。安全だ」と言われたという。
 27日付グローボサイトでは、25、26両日、同遊園地は通常営業した後、27日に警察が捜査。証言や技術者による調査から、捜査関係者は「現時点では機械に何らかの欠陥があったと言うことはできない」としている。
 警察は事故の原因に関する仮説を未だ発表していないが、一部メディアでは「人的ミスではないか」との推測で報道している。
 「エッフェル塔」は現在、調査のため立ち入り禁止となっており、30日以内に鑑定書が提出される予定。
 アルマンドさんは「いくつかのテレビでの報道は誤報。安全装置の一部が娘の座席に付いていなかったのに、人的ミスであるわけがない。明らかに設備の欠陥」と憤りをあらわにする。
 事故翌日も開園した遊園地側の対応に不信感を見せ「日本では安全性を非常に重視する。時間がかかっても、一つ一つの遊具を点検して安全性が確認されてからしか再開しない」と批判した。
 ブラジルメディアの取材にシウマラさんは「何をやるのもガブリエラと一緒だった。可愛くて優しい子でした」と悲しみを隠せない様子を見せ、最後の言葉は「お母さんと一緒に全部の遊具で遊ぶからね」だったという。
 アルマンドさんは「他の家族に起こらないように、また命が奪われることがないように、正義の裁きが下されてほしい」と話している。

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