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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年9月4日

 大陸規模国家ブラジルには数え切れない無医村が散在する。月給3万レでも誰も働きに行きたがらない僻地だ。金持ち子弟が大半の有名大学医学部卒にとって、農村で貧民の相手をするのは肌に合わないらしい。〃赤ひげ先生〃は少ない▼マイス・メジコス政策(以下MM)で外国人医師を無医村に派遣するのを、そんな伯人医師が必死に反対している。誰も行きたがらなかった僻地なのに、自分達の職場が奪われるかのように反対するのは滑稽だ。テレビでは現地住民の「どんな医者でも居ないより居たほうがいい」との声を聞いた▼当地の医療政策の根本問題は、無料の公共医療(SUS)と高額の民間医療の二律背反性だ。公共医療が充実すれば、誰も高額な民間には行かない。この二つが両立するのは貧乏人が公共医療に行き、金持ちが民間に行くという棲み分け社会ゆえだ。社会が豊かになって中間層が増えて問題が表面化した▼PT政権のこの10年間は、W杯や五輪誘致には熱心だったが、医療問題解決には積極的でなかった。6月の〃抗議の波〃でその点を突きつけられ、大統領が打ち出したのがMMであり、代表格のキューバ人医師らは来週から現地入りする。最初に伯人医師に呼びかけたが、1万5460人もの求人枠に対して6%しか埋まらなかった。その空席に外国人医師を期間限定で呼ぶ訳だ▼「足りないなら外国人を入れれば良い」とは実に移民大国らしい発想だが〃対症療法〃でしかない。根本的な医療充実政策と対にして進めるべきだ。「次はマイス・ポリチコス(外国人政治家)だ」と新聞の読者欄に皮肉ってあったのを読んで、思わず爆笑した。(深)

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