【既報関連】世界的ファッション・デザイナーのコシノジュンコさんが、現代美術家の矢柳剛さんと南米初の二人展『オーパ!陽気な黙示録』(17日付詳報)を開くため来伯し、21日、展示会に先立ち総領事公邸で和食文化紹介イベントを行った。日系団体代表者、共催企業の役員およびファッション・グルメ関係者など約110人が出席した。
コシノさん(74、大阪)は日本食をアートと捉え、ファッションショーの折に食のイベントを開いてきた。「日本語では『美しい味』と書いて『おいしい』と読む。まず目で見て食べるという深い意味がある。今日は花も一体になって料理を生けました」と挨拶。自らがデザインした漆塗りの入れ子十段の重箱に、日本食店「藍染」の小池信シェフが盛り付けを担当した。
だんじり祭りの里、大阪府岸和田市生まれで祭りが大好き。カーニバルに憧れ、浅草カーニバルの審査員長を10年間もつとめた。そんな彼女へのプレゼントとして、サンバ学校『アギア・デ・オウロ』が登場。サンビスタに囲まれたコシノさんは、アマゾン柄の浴衣で嬉しそうにステップを踏んだ。
今回の来伯を機に、日伯両国の友好を目指して「かたつむりアート」も実施。東日本大震災の被災地や在日ブラジル人学校の子どもたちが参加し、矢柳氏がデザインしたかたつむり型画用紙に自由に絵を描いた。5千枚中、3千枚が展示会会場に展示されている。
コシノさんは、「今回一番感動したのは、かたつむりアート。ブラジル出身の子の使う色は、日本の子と違う。色の無邪気さ、強烈さを羨ましいと思った」と話した。
57年から当地で3年間絵と考古学を学んだ矢柳さん(80、北海道)は、「大自然のすごさに引かれ、絶対にブラジルに行きたいという情熱があった」と当時を回顧。「ブラジルでの経験が、今の私の絵の色彩学の基。30年ぶりに来たが、表現方法が自由な街の落書きがすばらしい!」と絶賛していた。
なお、当日の様子はNHKでも放映された。
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展示会は、23日~3月16日(午前11時~午後8時、月曜休館)まで、大竹富江インスティチュート(Av. Faria Lima, 201, Pinheiros)で開催中。