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計画不足、観光客走らす

ニッケイ新聞 2014年4月15日

 W杯まであと58日となった。13日付フォーリャ紙が、豪華客船での旅行中、北大河州ナタルでの試合を観戦する予定の観光客3500人がペルナンブッコ州レシフェで船を降り、バスで280キロ移動する必要ありとの記事を掲載した▼ナタルにも港があるのに何故? と考える方もいるだろうが、理由は至って簡単。問題の豪華客船の高さが67メートルなのに、港に接岸する前にくぐらなければならない橋の高さが55メートルしかない事が分ったからだ▼旅行会社は6月13日のメキシコ対カメルーン戦と同24日のウルグアイ対イタリア戦をナタルで観戦する予定で、13年12月にナタル寄港との予約を入れたが、今年2月に寄港の予定をキャンセル。代替案として最適と判断されたのが、バス100台を連ねてレシフェ~ナタル間を往復する方法だ▼メキシコ人を中心とする利用者達は大変だろうが、橋の高さが港へのアクセスを妨げると予想出来なかったのは、旅行会社だけではない。北大河州港湾局担当者も、12年にナタル港のターミナル工事について発表した際、「ターミナル完成の暁にはW杯観戦者は海上に浮かぶホテル(豪華客船)を利用出来る」と発言していたという▼旅行会社が4カ月以上前に計画変更が必要な事に気づいたから良いが、100台のバスを揃えるのは容易ではないし、渋滞が起これば会場への到着時間を割り出すのは難しくなる▼新たな計画や解決策を立てる時、関係者の中に全体を俯瞰出来る人がいるか否かの差は大きい。W杯や五輪などのイベントも近いが、全国各地でもっと大きな落とし穴が見つかるのでは、と考え込まされる記事だった。(み)

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