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「W杯では血を見ることになる」と叫んだ活動家の素顔

 バス運転手や車掌の電撃ストでサンパウロ市が大混乱したおかげで目立たなかったが、W杯と選挙を占う上で注目される動きが裏であった。MTST(家なし労働者運動)が22日、サンパウロ市南部の幹線道路を1万5千人のデモ隊で封鎖し、指導者のギリェルメ・ボウロスは「市役所が何の譲歩や交渉もなしに、司法命令で我々を強制退去させるなら、W杯では血を見ることになる」とデモ群集の前で強弁を振るったことだ▼W杯開幕会場イタケロン近くの空き地を5月初旬に不法占拠し、二昼夜で2800家族がテント生活を始めた「人民のW杯(Copa do Povo)」運動リーダーの一人だ。そこを貧困者向け集合住宅にさせるための圧力行動であり、強制退去反対のデモ行進の場で、そう叫んだ▼ボウロスは今までのMTST指導者とは一風変わっている。元露天商でたたき上げの活動家エリックを前任に仰ぐが、彼自身の経歴は実に〃高貴〃だ。「アウキミンサンパウロ州知事(PSDB)の保健行政の重鎮で感染医学の権威マルコ・ボウロス博士の息子にして、USP哲学科卒。20歳で同運動に身を投じてテント生活を始め、現在31歳。W杯を機に一気に台頭して新リーダーの座を占めるようになった」との記事を読んだ▼出自を見ればわかる通り、彼は活動家の新星だ。サンパウロ州のW杯の肝は、どう見てもイタケロンだ。同会場が開幕直前に壊され、血塗られた場所になったら、W杯の悪印象をどれだけ世界に広げるかを彼はよく分かっている。開幕試合を〃人質〃にして脅すことで、PT市長から譲歩をむしり取る戦略を立て、計算の上で「血のコッパ」を叫んでいるに違いない。(深)

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