ホーム | 日系社会ニュース | 本門佛立宗=〃佛立聖地〃に宝塔落慶=終戦70周年、平和の鐘も設置=信者1500人が一堂に
記念撮影する僧侶ら。中央が山内上人、その右隣がコレイア教区長
記念撮影する僧侶ら。中央が山内上人、その右隣がコレイア教区長

本門佛立宗=〃佛立聖地〃に宝塔落慶=終戦70周年、平和の鐘も設置=信者1500人が一堂に

 サンパウロ州タピライ市の自然保護区に〃佛立聖地〃の建設を目指す本門佛立宗中央寺院日教寺(コレイア教伯教区長)が、26日に聖地初の建築物となる宝塔を建立、日本から第25世講有・山内日開(にちかい)上人(講有=宗門の最高位)を招いて落慶式を執り行った。終戦70周年を記念し、宝塔には広島市のものとほぼ同一の「平和の鐘」が据え付けられた。日本から宗務本庁の関係者や檀家約30人が来伯したほか、アラウド・トデスコ同市長ら来賓やパラー、ブラジリア、ミナス、南大河など全伯各地の信者約1500人が集い、宝塔がそびえる湖の対岸で世界平和を願った。

水しぶきを巻き上げながら、ヘリコプターから開眼法要を行なった

水しぶきを巻き上げながら、ヘリコプターから開眼法要を行なった

 〃佛立聖地〃は本門佛立宗を当地に伝えた笠戸丸移民・茨木日水上人の悲願だった。同教区はこれを叶えるべく、2011年に信者から76アルケール(東京ドーム50個分)の土地を買い受け、寺や福祉、教育施設などを建設するという壮大な事業に着手した。宝塔建立はその嚆矢となった。今後、予算集めや具体的な構想作成が始まる。
 宝塔は高さ20メートル、重さ14トン、最上部に本尊、中央に仏丸、下部に経文が刻印された平和の鐘を抱く。「平和の鐘」の名称に関しては、広島市から使用許可も得た。信者の祈りの甲斐あってか20日ぶりの晴天に恵まれた中、山内上人が本尊にヘリコプターで接近し、上空から開眼法要を行なった。
 同上人は40数年前に来伯し、サンパウロ市ジャルジン・ダ・サウーデ区にあった日教寺の前身で教学講師を務めていた。法要後の教示では、「あの時の信者の方からもご参加頂いていると思うと今昔の感ひとしお」と述べ、「日水上人の孤軍奮闘や派遣教務の奉公の累積があり、ブラジル出身者の教務体制になって久しい」と関係者の労苦をねぎらった。
 また、東京都・清雄寺の信徒だった水野龍氏が移民の精神的支柱となるようにと、四世日教上人に僧侶を同行させるよう願い出て日水上人の渡伯が実現したことから、その息子の龍三郎さんも来場した。日教寺コーラス隊や青年の信者によるサンババンドも式典に華を添えた。
 本紙の取材に対しコレイア教区長は、「大きな夢が実現できとてもうれしい。土地も水も豊富で、サンパウロからさほど遠くない。精神、心身修養のために尽くしていきたい」と話した。
 日本から訪れた高城道江さん(68、京都)は、「ブラジルにも寺が一杯あると聞いてはいたけど、信者の数や熱意は想像以上。あんな所に宝塔を作ってしまうなんて、とにかくすごい」と感激した様子で語った。


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 本門佛立宗中央寺院日教寺が宝塔に設置した平和の鐘は、広島市のものとほぼ同じ形状という意味で世界に2つ目とか。終戦70周年を迎える今年をめがけ、3年前から準備してきたという。撞木(鐘を打つ木)には社団法人ワールド・ピース・ベル協会の寄付による、世界106カ国の硬貨で作ったインゴット(鋳型に流し込んで作った金属塊)もはめ込まれている。これから毎年8月5日にタピライ市から聖地まで市民と行進し、原爆投下時間に合わせて法要し、平和の鐘をならすというイベントが予定されている。

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