ホーム | 連載 | 2016年 | 第46回県連故郷巡り=悠久と躍動の北西パラナ | 第46回県連故郷巡り=悠久と躍動の北西パラナ=(17)=「野菜はまかせろ」コチア青年

第46回県連故郷巡り=悠久と躍動の北西パラナ=(17)=「野菜はまかせろ」コチア青年

猪俣征幸さん

猪俣征幸さん

 猪俣会長の叔父、猪俣征幸さん(73、大阪府)にも話を聞いた。1959年1月サントス着のブラジル丸で渡伯した。「猪俣家は両親と6人兄弟の計8人で来た。僕は富男の父の弟」と自己紹介した。
 「大阪にいた時に区画整理で、自宅があった場所に道路が通ることになり、立ち退き料で入った。最初はバストスに入ったが、一年居なかった。元々商売をやりたかったので場所を探していた。最初に兄がこの町を通って、町並みはみなペンキがぬられて奇麗で気に入った。ここは発展するとピンときて移った。あの頃、アスファルトなどなく、中心部だけ石畳。普通は泥道で、雨が降るとクリチーバまで車で一週間かかった」。
 最近の話題としては、日本でも有名なアルシンドがここに大農場を持っている話になった。
 「神戸大震災の時は、ここのCopavel組合が鶏肉15トンを被災者に寄付したいと、クリチーバの総領事館に相談したが結局はダメだった。東日本大震災が起きた翌日の土曜日、ここに住んでいる元Jリーガーのサッカー選手アルシンドと僕らが『何かできないか』と話していて、義援金集めの親善サッカー大会をやろうという話になった。彼がジッコに電話してOKをもらい、最初はカスカベルでやる予定だったけど、ジッコが『それじゃ不便』とクリチーバでやることに。あの時、カスカベルからもバスで応援にいった。アルシンドは何かあれば相談に乗ってくれる頼もしい人」という。

松下喜美雄さんとその家族

松下喜美雄さんとその家族

 この町にもコチア青年がいた。松下喜美雄さん(きみお、78、長野県、2次2回)だ。北パラナは青年隊が多かったが、西パラナだとコチア青年のようだ。「この町にはコチア青年が3人いた。一人は2年前に死んだ遠藤邦夫(くにお)、もう一人は岡部初郎(はつろう)」とのこと。
 松下さんは59年に渡伯し、ロンドリーナのカフェザルへ。「ここでは何を生産しても先輩が多く、太刀打ちが難しい。新しいカスカベルなら競争が少ないだろうとやってきて、ずっと野菜を作っているよ」という。
 「1960年に、ここに流れ着いた」と豪快に大笑する。1アルケール半の畑で葉物中心。「今皆が食べてるのも、僕が畑から持ってきた」。レストランやスーパー、市場にも出す。
 「標高700メートルでたまに雪が降る。パラナ松が生えるところは土地が悪い。元々この辺はパラナ松の大産地で、僕らが来た頃はあちこちに製材所があった」と振りかえる。
 「土地が悪いから最初はみんな野菜を作りきらなかった。だから商売になった。最初の頃は、野菜自体食べなくて困った。今でも人口に比べたら消費量は少ない。その割に競争は激しいから儲からない。ここは日本人が少ないから大根や白菜は出ないね」(つづく、深沢正雪記者)

image_print

こちらの記事もどうぞ

  • 印象深い外交120周年を振り返る=編集部が選んだコロニア10大ニュース2015年12月30日 印象深い外交120周年を振り返る=編集部が選んだコロニア10大ニュース  サンパウロ市カーニバルで巨大立佞武多が華々しく行進したかと思いきや、なんと焼失――。秋篠宮さまご夫妻が恭しくご来伯されたかと思いきや、ジウマ大統領が訪日ドタキャン…。日伯が正式な外交関係を結んでから120年という節目は、思いのほか波乱含みの出来事が起きた。その他、パラナ州やコ […]
  • 東日本大震災=カズのTシャツで復興支援=伯ファンクラブが製作=日伯の売上げを義捐金に=サンパウロ市の3カ所で販売中2011年4月15日 東日本大震災=カズのTシャツで復興支援=伯ファンクラブが製作=日伯の売上げを義捐金に=サンパウロ市の3カ所で販売中 ニッケイ新聞 2011年4月15日付け […]
  • 《ブラジル》コロナショックにサッカーチームが立ち上がる=スタジアムや練習場を医療用地として提供2020年3月24日 《ブラジル》コロナショックにサッカーチームが立ち上がる=スタジアムや練習場を医療用地として提供  ブラジルでは現在、新型コロナウイルスの感染が広がっており、国内全域でプロサッカーの公式戦が中断され、リベルタドーレス杯などの国際大会や、カタールW杯南米地区予選も延期が発表された。  試合がない中、選手の体力や試合勘を落とさないよう、トレーニングだけでも行いたいところだが、 […]
  • 東西南北2019年10月9日 東西南北  サンパウロ州保安局がまとめたところによると、1~8月のサンパウロ市内での強盗件数は、前年同期比で2・31%減ったが、南部のシダーデ・アデマールにあるヴィラ・ジョアニーザ署管内では44・96%、東部ヴィラ・アルピーナ署管内では36・86%のように、件数が急増した地域もあるという […]
  • 東西南北2018年4月18日 東西南北  パラナ州クリチーバでルーラ元大統領のためにキャンプを行う団体が大量にいることは昨日付本紙でも報じたが、ルーラ氏が彼らに対して手紙を書き、グレイシ・ホフマン労働者党(PT)党首が16日に支持者の前で読み上げた。ルーラ氏は「私は司法機関を信じているが、無実で捕まった多くの人たち同 […]