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最高裁、おまえもか?

高まる最高裁に対する不信感(Foto: Fellipe Sampaio/SCO/STF)

高まる最高裁に対する不信感(Foto: Fellipe Sampaio/SCO/STF)

 気になる妙な動きが二つ、立て続けに起きた。4日のパウリスタ大通りのデモに関して軍警が発表した参加者人数と、7日の最高裁大法廷〝玉虫色〟判決だ▼パウリスタ大通りのデモ参加者数を軍警が「1万5千人」と過少発表したのは実に腑に落ちなかった。今年8月までは、実際に現場を見た感じでは、逆に多めに発表していたからだ。何が変わったかと云えば、先々週に「PSDBから次の与党大統領候補を出す」との密約をテメルが交わしたことだ。軍警を掌握する聖州知事アウキミンが、自ら大統領候補として立つ可能性が高くなった。ジウマが罷免されるまでは野党の立場で大目に参加人数を発表し、与党の立場になったら少な目にする―そんな政治的判断が働いたとしか思えない▼メーロ判事が5日、レナン氏に上院議長停職仮処分を出し、本人は受け取りを拒否した挙句、上院を動かして「たった一人の判事の判断で、民主的に選挙で選ばれた議長が停職にされるのはオカシイ」と抵抗した▼ジウマ大統領もクーニャ下院議長も最高裁判決には素直に従ってきた。ところがレナン氏は最高裁に対し「誰にむかって言っているのか分かっているのか!」と言わんばかりの態度をとった。しかも翌日、最高裁は腰の砕けた〝玉虫色〟判決。大統領権限の継承者リストからは外すが、議長職はそのまま…。まるでジウマ弾劾時の「罷免だが公職追放処分は免除する」という判決と一緒で、不可解な判断だ▼しかも、罷免時には、その不可解判断を批判した判事は多かったが、今回は最高裁の大法廷自体がそれをやった。司法のトップが立法府に屈したかのようだ。汚職撲滅の最後の砦がラヴァ・ジャット作戦を推進する司法であり、そのトップが最高裁のはずだった▼なぜ玉虫色になったかといえば、歳出上限法案を上院で可決する日程が迫っていたからだ。レナン氏が仕切らないとすんなりと通らない。それでは困るから大統領府が水面下で動いて仲裁したらしい。その交渉役といわれるヴィアナ上院第一副議長は7日朝のCBNでインタビューに答え、「レナン氏を大統領継承権者からは外すが、議長は続けてもらう方向でいま交渉を続けている」と明言。その日の午後その通りの最高裁判決になった▼テメル政権の最優先課題は、なんといっても「歳出上限法案」と「年金改革法案」を来年前半までに可決することだ。PT政権中に大穴の開いた連邦会計の支出を減らす必要があり、最大の支出が「政府の行政経費」と「年金の支払い」だ。もしレナンが落ちて、ヴィアナが議長代行になれば、歳出上限法に反対するPT議員として採決延期しかねない▼毎年のことだが、クリスマス前からカーニバル(2月末)までは、まともに国政は動かない。この1週間内外で歳出上限法を可決しておかないと、来年2月後半以降にずれこむ。それではテメル政権の実行力や勢いを疑われる―だからムリヤリ、レナン氏温存の〝談合〟をした。つまり、経済政策を優先するために司法を曲げた▼経済評論家ミリアン・レイトンは7日、自らのブログで「司法は経済問題から独立した判断を下すべきだ」と非難した。その日の晩のジョルナル・ダ・クルツーラでアルヴァロ・モイゼス政治評論家は「4日のデモで一番、街頭の声として求められていたレナン罷免を、最高裁が期待だけさせといて、最終的に自ら否定した。この流れで、国民の司法に対する不信感が一気に高まった」と厳しく指弾した。最近、連邦議会から槍玉に上げられている、司法界けん制的な法令が含まれた「職権乱用防止法」と、司法関係者の非合法な高給「スーペルサラリオ」問題を収める取り引きしたとの報道すらある▼テメルが最高裁とそのような〝談合〟が出来るのであれば、大統領在任中にLJ作戦で彼の犯罪が問われることはない―という読みすら立つ。今回、連邦検察庁のジャノー長官は強烈にレナン停職を主張したが、全判事の過半数6人がそれを聞き流した。この図式が、今後のLJ案件で繰り返されれば、政界浄化は夢のまた夢だ。あからさまな「政治操作」は、国民からの不信感を高めるばかりだ。(深)

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