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《サンパウロ》ドリア市長がアニェンビ売却構想明らかに=市観光振興公社とセットで=昨年利益1800万レアル(6億5千万円相当)の優良物件

サンパウロ市アニェンビのサンバ会場(Robson Fernandjes/LIGASP/Fotos Publicas)

サンパウロ市アニェンビのサンバ会場(Robson Fernandjes/LIGASP/Fotos Publicas)

 ジョアン・ドリア、サンパウロ市長(民主社会党・PSDB)は、サンパウロ市営の観光、イベント公社SPTurisと、見本市や展示会用のスペースと会議場、サンバ会場を含むアニェンビ複合施設を民間に売却する意向だと24日付現地紙が報じた。
 サンパウロ市はSPTurisの株式の97%を保有している。そしてSPTurisは、アニェンビ複合施設の100%保有者でもある。
 アニェンビ民営化はドリア市長の選挙公約で、サンパウロ市はSPTurisの株式を最低価格設定の上で入札にかけることが、同施設民営化のための最速の方法と見ている。
 ドリア市長は市が所有する資産民営化の手続きを迅速に行うことを望んでいるが、最大の壁は市議会だ。市議会は一つ一つの資産売却について、審議、承認を行わなくてはいけない。
 市は50件以上に及ぶ民営化可能物件リストを作成している。民営化計画には、完全売却の他に、官民合同プロジェクト(PPP)や期限付き経営権委譲も含まれている。公共交通機関で使用されるカード型利用券のビリェッテ・ウニコや公園、公営葬儀サービスは経営権委譲、インテルラゴスサーキットやアニェンビは売却の対象だ。
 市の計画ではSPTurisとアニェンビ複合施設を買収した会社は、従業員から施設までを引き継ぐ予定だ。SPTurisはキャリア官僚が9割を占めている。
 ただし、SPTurisは、サンパウロ市観光業の目玉といえる、ゲイパレードからカーニバルに至る諸行事の企画やPRなどの責任を担っており、現在担当している機能や活動の一部を別の部署に移す可能性がある。
 アニェンビ複合施設は総面積40万平方メートルの施設だ。年間150のイベントが開催され350万人の人々が訪れる。昨年は1800万レアル(6億5千万円相当)の利益を出した。
 サンパウロ市によると、民営化計画で得た利益は全て、これから新設し、新規開発業務に当てる市の投資基金に入る予定だ。同基金の新設は、売却や経営権委譲による利益を、市職員の給与支払いや消費財の購入、既存公営設備の修復費には当てるのを避けるための方策だ。
 ドリア市長は、民営化による利益を保健衛生、教育、市街地の交通、住居、治安の各分野にあてる意向だ。具体的には、保育所や病院、住宅建設などがそれにあたる。
 今後数週間の内にサンパウロ市は市議会に民営化計画を提出する意向だ。個別の資産に関する具体的な方策は、同計画の承認後に詰められていく。