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商議所フォーラム=伯国政治経済情勢を展望=不況下の戦略で明暗分かれ=鈴木孝憲氏ら三氏を招き

講演を行った鈴木氏(中央)

講演を行った鈴木氏(中央)

 未曾有の政治経済危機から伯国経済が回復基調に―。ブラジル日本商工会議所異業種交流委員会及びブラジル日本文化福祉協会の併催で「鈴木孝憲フォーラム~ブラジルの政治経済情勢~」を14日、文協小講堂で開催した。日系企業の駐在員や経営者らおよそ100人が鈴木氏ら三氏の鋭い政治経済分析に傾聴し、今打つべき戦略を問い正す機会となった。

 元ブラジル東京銀行頭取や元デロイト・トウシュ・トーマツ最高顧問等々の要職を歴任した鈴木氏。「ブラジル経済・ビジネスを見る視点」をテーマに、三つの視角から経済情勢を分析し、今後の展望を含めた進出企業への提言を行った。
 まず、鈴木氏は、労働者党政権瓦解について、「近隣諸国と係争がなく地政学的リスクが少ないといわれるが、実際はそうではない」と強調。
 ドミノ倒しのごとく左傾化が進んだ中南米政権について「労働者党の呼びかけで90年に開催されたサンパウロ・フォーラムで新自由主義体制打倒と左派政権樹立が宣言されて以来、キューバのフィデル・カストロの存在もじわじわと効いて左傾化が促されていた」と背景を説明。
 だが、「PT政権には何をやっても許されないという意識があった。ジウマ政権では経済介入も酷く、大衆迎合主義が経済を破綻させた」と問題の根源を指摘し、「米国とキューバの国交正常化やカストロ死去、PT政権退陣により、ビジネスはやりやすくなっていく」と見通した。
 続いて、経済情勢について、インフレ金利低下や為替相場安定化などを例に「穏やかだが着実に回復している」と強調。その上で「企業家からは『政治危機に振り回されるのは止めて我々は自分達のビジネスを進めよう』」といった政治経済を分離して考える動きも出ていると紹介した。
 テメル政権については、「歳出上限法や労働法改正、年金制度改革など、長期的経済回復のための大構造改革に挑戦している」と評価した。
 最後に、対伯直接投資の現況について説明。13年以降の4年間で平均800億ドルの投資があったとし、「欧米勢の長期的な対伯基本戦略がぶれていない証拠。不況の時こそ将来の事業の基盤を築く好機として、設備近代化や販売網拡充、企業の合併買収などここぞとばかりに手を打っている」とした。
 「嵐の中でも欧州勢は立ち止まらなかったが、残念ながら日本勢は立ち止まってしまった」と言い、「伯国の見方についてかなりの差異がある。日本の本社は伯国のことを分かっている人が少ない。日本の海外戦略を色々な点で見直す必要があるのではないか」と提言し、講演を終えた、
 そのほか、池田アキヒロ元企画大臣経済政策補佐官、中谷アンセウモ元ブラジル古河電工社長も講演した。
 中谷氏は、「労働法改正について」をテーマに、企業活動に影響のある改正法の変化項目を紹介。「法改正により会社と従業員の間で、全て交渉可能となったことが画期だ。活発に交渉してコスト削減に努め、競争力をつけることを期待する」と締め括った。

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