【既報関連】翌年の移民110周年記念式典が、サンパウロ州とパラナ州の両州で7月21日予定として重複していたことに関し、先月28日、両州の祭典委員長らの間で会合が開かれ、パラナ州側が式典予定を19、20日に前倒しすることで合意した。日系社会の内輪もめとも捉われかねなかった本件も早急に解決され、日系社会が一丸となって大祭典を祝う体制がついに整った。
先月、菊地義治実行委員長が宮内庁はじめ、各所に招待状を届けるため訪日するなか、両州の式典日が同日となっていることに対し、外務省から懸念が浮上。皇室の御来伯をお願いする大事な時期とあって、関係者の間で緊張が走っていた。
そんななか、急遽、開かれた会合。サンパウロ州側は呉屋春美祭典委員長(文協会長)、菊地義治実行委員長、飯星ワルテル連邦下議、パラナ州側は、西森ルイス祭典委員長(連邦下議)、折笠リカルド祭典副委員長らが一同に会し、協議を行った。
パラナ州側は既にテメル大統領に招待状を渡し、出席を確認していたとのこともあり、協議が難航することも予測されていたが、終始穏やかな雰囲気で行われ、皇室をお迎えするため一つになって祝う体制をとの認識の下、西森祭典委員長が歩み寄ったという。
呉屋祭典委員長は、「外務省や領事館もふくめ、皆が気を揉んでいたのでホットしました。これで、一つになって祝う体制ができた」と胸をなでおろし、今月末に行われる海外日系人大会で、移民110周年に向けて協力を要請する意向だ。
ジョルナル・ニッパク紙の取材に対し、西森ルイス議員も「土曜日ということもあり21日開催したかったが、最大の日系社会を有するサンパウロ州に歩み寄るのは当然のこと。共に協力し続けていく」と強調した。
その後、パラナ日伯連合会傘下支部に合意を取付け、5日、式典日を7月19、20日とすることで最終確定となった。
クリチバ、ローランジア、マリンガを候補地とし、記念式典はマリンガ市のフランシスコ・フェイオ・ヒベイロ国際公園にて19から22日にかけて開催する『移民110年エキシポ』の中で行われる。同祭は、目標来場者数を15万人とし、種々の日本文化イベントを行う予定だ。
これまでローランジアで行われてきた式典を移転する理由について、本紙の取材に対し、折笠祭典副委員長は「皇室の方は、来伯するたびマリンガに足を運んで下さるが、夕方にご到着され、ゆっくりできないままお帰りになられる。今回はマリンガでごゆっくり過ごして頂ければ」との考えを明かした。
また、「連合傘下の何処の町でも、同じことを出来るようにしたいとの思いがある」と語り、「110周年は、200年へのスタートに過ぎない。諸先輩方への感謝を忘れず、これを機に後継となる若者を育て、これまでやってきたことを覚えていって欲しい」と見通した。
また、第一上塚植民地百周年を迎える移民の故郷・プロミッソンでも、記念式典に向けた準備が着々と進んでいる。
プロミッソンは、サンパウロ州に続く22日に、上塚周平公園で記念式典を敢行する。午前9時半に式典開始で、同園内運動場にて歓迎パレードで皇室をお迎えする意向。広場では終日、踊りや太鼓、弓場バレーやコスプレ大会も。午後6時半からは、ノロエステ連合日伯文化協会主催の盆踊り大会を開催し、夜は打ち上げ花火を予定する。
前田ファビオ実行委員長によれば、二分されてきた日伯文化体育協会と日系文化運動連盟も共に準備にあたっており、式典後に2団体が統合されることで概ね合意に達したという。皇室御来伯が実現すれば、二団体統合はその象徴となりそうだ。
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110周年を次世代育成の機会と位置づけるラナ日伯連合会。折笠祭典副委員長は、「文協会長も若い三世へと引継がれる時代。だから、日本文化の精神的な部分まではなかなか理解するのは難しい」と現状を見ており、「だからこそ後継ととなる若者を育てていかなくてはいけない。祭典委員会には、30~50代の若手を多く起用し、我々は裏から応援していきたい。そのなかには、メスチッソもいるし、将来の文協会長も出てくるのではないか」と期待を語った。マリンガに場所を移しても、連合傘下支部が一致団結し、移民百周年のローランジアでの記念式典でおよそ7万5千人も集めたように、来年もパラナ州日系社会の紐帯の強さを示して欲しいところ。