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トヨタ自動車=HV車で業界の牽引役に=海外初拠点から60周年=CEO「不可能を可能に」

記念撮影に応じた経営陣

記念撮影に応じた経営陣

 海外初の生産拠点を伯国に築いてから早60年――。ブラジルトヨタ自動車(ラファエル・チャン社長)は、報道関係者向けに「17年度事業実績並びに18年度事業計画の説明会」を23日、ジャパン・ハウスで催した。当地での創業60周年を記念して開催された。12年以降の景気後退局面を逆手にとって、過去5年間で約16億米ドルの新規投資計画を次々と発表し、反転攻勢を図ってきた同社。FLEX対応ハイブリッド(以後HV)車開発による将来の更なる事業拡大を見据え、激変する自動車産業の牽引役となりそうだ。

 1956年の自動車国産化政策の下、58年に当地で生産開始。第1号車種「バンデイランテス」は40年以上生産され累計10万台を達成するロングセラー、98年にはカローラを現地生産し、富裕層を照準に置いた事業展開を図っていた。ところが03年以降に中間層が拡大。対象車種を持たない同社は後手に回っていた。
 転機となったのが小型世界戦略車「エティオス」の生産開始だった。当初は厳しい評価に晒されたが、改善を重ね販売台数を伸ばしてきた。16年には中南米初のエンジン工場も開設。伯国の新車生産台数がピーク時の4割減となる未曾有の経済危機で欧米メーカーが苦戦を強いられる中、同社はむしろ存在感を強めてきた。
 12年にはわずか2%台だった市場占有率は、16年には8%台に。昨年の国内販売台数18万428台と過去2番目の好成績となり、近隣諸国への輸出増も後押しし、生産台数は過去最高の19万7528台に。同社長は「市場回復は予測を超える早さだ」と語り、今年の国内販売台数目標を前年比5%増の19万682台にした。
 中南米カリブ地域における事業拡大は同社グローバル展開にも大きく貢献している。スティーブ・セント・アンジェロCEOは「同地域の事業規模は小さいが、16年に続き昨年には、グローバル・トヨタの新車売上成長率の17%に寄与した」と誇らしげに語る。
 今年創業60周年の節目を迎え、「我々の挑戦は不可能を可能にすること。未来を刷新する商品を展開していく」と意気込むスティーブCEO。その最たるものが「全ての技術革新の新土台」と位置づけるHV車の市場展開の拡大だ。
 富裕層向けのHV車「プリウス」の一昨年の販売台数はわずか485台。ところが、輸入関税の大幅な引下げや自動車保有税の半額返金といった特典、さらに同社の広報活動により昨年は約500%増の2407台まで販売台数を伸ばした。
 25年までに全車種にHV技術搭載を目標とする。当地向けの特別仕様として現在、FLEX対応HV車の研究開発を進め、「公式に試験できる段階にある」と自信を伺わせる。
 その他、18年下期からは、カローラとエティオスの間の層に照準を置いた新車「ヤリス(日本名、ヴィッツ)」が生産販売開始されることを発表。現状、工場ではフル稼働で生産されていることから、新車展開を見込んでソロカバ工場では二交代制から三交代制での変更も検討されている。


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 12年から投入された「エティオス」で、顧客の要望に真摯に耳を傾け、改善を積んできたトヨタ社。12年度には46%だった顧客信頼度が、16年度には68%に。グローバル・トヨタの中でも日本に次ぐ2位となり、米国の63%を越えた。スティーブCEOは「アメリカ・ファースト(米国第一)というが、ブラジル・トヨタの後塵を拝しているようだ。悪いな、ドナルド(トランプ大統領)」と米国人らしいジョークで笑いを誘う場面も。トヨタ・ファミリーの仲睦まじさが伝わってくるものだった。欧米5社の寡占状態にあった市場の勢力図は、近年大きく塗り替えられつつある。不景気を乗越えて得た絆をさらに強め、HV車で市場を牽引して欲しいところ。
       
 移民110周年に併せてジャパン・ハウスで開催された説明会。ラファエル社長は「日系社会と深い関係のある。我々のルーツを強化するためにも、ここで開催する運びとなった」と強調。説明会後には、同館内のレストランで坂本淳シェフ監修の日本食が振舞われ、自動車関連を専門とする報道関係者も舌鼓を打った。間もなくサンベルナルド・ド・カンポ市工場内に、新たに一般向けに訪問センター(Centro de visitas)がオープンする。その他、7月に開催される日本祭りや新車発表会など、一年を通じたイベントで創業60周年を祝う予定だ。

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