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JH=未来を想起させるロボット=山中研究室、プロトタイピング展=ひらめきから最先端技術へ

プロトタイプの可能性を語る山中教授

プロトタイプの可能性を語る山中教授

 未来の最先端技術を形にした「プロトタイプ」(実験モデル、ロボット)を展示する、東京大学生産技術研究所の山中俊治研究室『Prototyping in Tokyo(プロトタイピング・イン・東京)』展が、先月27日からジャパン・ハウス(Av. Paulista, 52)2階で開催中だ。世界3カ国のJHで展開される巡回展で、聖市が最初。科学技術の展示は今回が初だ。初日の本人による講演会「未来を描くプロトタイピング」は、未来への想像を掻き立てるインスピレーション(ひらめき)あふれる内容で、非日系人を中心とする130人が熱狂した。

手で触れて触感の違いを体感できるプロトタイプも

手で触れて触感の違いを体感できるプロトタイプも

 山中俊治氏(愛媛県、60)はプロトタイプについて、「何の役に立つか分からないかも知れないが、それが重要。これを使うことで、こんなものが出来るのかという問題提起となり、未来について考えるインスピレーション、これからどういう社会を作るかを考える素材になる」との意義を語った。
 山中氏は「イノベーション大使」との異名を持ち、工学と藝術の接点であるデザインを主軸として数々の革新的事業に携わってきたデザイン・エンジニアだ。これまでにオリンパス電子カメラ「O-product」をはじめ、日産自動車「インフィニティQ45」、JR東日本の「Suica改札機」の非接触型ワイヤレス・カード・システムなど手掛けた事業は多岐に及ぶ。
 山中氏は「デザイン・エンジニアは、もともと開発されたものに形を与える下流の仕事だった」という。ところが「何を作るのかを考えてから、それに必要な技術を後から開発するようになり、産業のなかで最上流の仕事になりつつある」との変化を指摘。「科学者が好奇心のままに新しいことをはじめ、そこにデザインが係ることで『一緒に未来を見よう』となった」という。
 14年に東京大学生産技術研究所教授に着任し、様々な研究を重ねてきた。本展では、研究室の7つのプロジェクトが着想からプロトタイプの製作過程までが絵巻物のような形式で紹介され、研究現場を追体験できるよう構成されている。
 最後に「皆さんと科学者が価値観を共有することで、未来を見ることができる。地球の反対側の人たちとの共同作業を、この展覧会が生むことを期待したい」と締めくくると拍手が沸いた。
 同展示は5月13日まで。入場無料。火~土曜日午前10時から午後10時、日曜・祝日は午前10時から午後6時まで。


□関連コラム□大耳小耳

 東京大学生産技術研究所の山中俊治研究室『Prototyping in Tokyo(プロトタイピング・イン・東京)』展の一つが『Ready to crawl(はう準備)』と題した3Dプリンタを使用したロボット展示だ。従来の機械工学では、複数部品を組み立てて機械は完成され、その加工技術には限度がある。3Dプリンタで作られるものには、精度も強度もない一方、モーターを除く全部品を一体成型することが可能だ。普通の機械にはできない滑らかな動きが実現され、本物の生き物のように感じられる「オーム」や「トカゲ」など、モーター一つで動くロボットが紹介された。日系コレジオはもちろん、日本語学校や地方日系団体、県人会の皆さんも興味をもちそうな内容では。サンパウロ市にいながらにして「いまの日本」を見られる良い機会のようだ。

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