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《ブラジル》災害による転居者数5倍に=土砂崩れ、海岸侵食等が要因=引越し嫌がる心理も強く

区画整備計画が不備で災害危険地帯に家が建つケースが後を絶たない。(参考画像・Coordenadoria Estadual de Defesa Civil)

区画整備計画が不備で災害危険地帯に家が建つケースが後を絶たない。(参考画像・Coordenadoria Estadual de Defesa Civil)

 スイスのジュネーヴに本部を置く非政府組織(NGO)、国内転居監視センター(Internal Displacement Monitoring Centre・IDMC)の調べによると、2017年のブラジルでは、自然災害が原因で国内転居を余儀なくされた人が7万1千人もいたと、9日付現地紙が報じた。16年は1万4千人だったから、17年はその5倍だ。
 民間防衛局(Sedec)は、2013年から17年までの5年間で1万2025件の自然災害の発生を認めている。土砂崩れ、洪水、干ばつなどが年平均で2400件発生している計算だが、これらは、自治体が緊急事態宣言や公共災害宣言(カラミダーデ・プブリカ)を出した災害に限られるので、実際の発生件数はもっと多いと推測される。
 現在、ブラジルには5570に及ぶ市が存在する。13年の地理統計院(IBGE)の調べでは、2008年から12年までの5年間で洪水が発生した市は1543市、大水は1574市、土砂崩れは895市で発生した。
 世界銀行とサンタカタリーナ州連邦大学の共同研究では、1995年から2014年までの20年のブラジルでの災害による被害総額は年1800億レアルを超えることもわかっている。
 ブラジル災害リスク削減協会に所属する心理学者のダニエラ・ロペス氏は、自然災害危険地帯に住む人々は、転居することを嫌がるゆえに、災害の危険性を低く見積もる傾向があるとし、「人々は何年も危険地域に住むうちに、『危険はコントロールできている』『自分は大丈夫』と錯覚してしまいがち。また、家族や友人も近くに住んでおり、引っ越す事で人との繋がりを失う事の方を嫌がる」と語る。
 ブラジル紙は、土砂崩れで家が崩壊する寸前に転居し、住宅補助政策で新たな住処を見つけたのに、慣れ親しんだ土地や家族と離れて暮らさなければならないストレスで、自殺を試みた女性の例を挙げている。
 また、10日付の別の地元紙によると、サンパウロ州環境局が5年に1度行う海岸線監視計画による調査では、サンパウロ州の海岸の51・5%は、浸食により海岸の変容や建物損壊などが起きる危険性が「高い」もしくは「非常に高い」ことが判明した。
 サントス市では、300トンの砂を詰めた巨大な袋を海岸線に49個おき、500メートル以上に及ぶ、波を食い止めるための壁を作った。海岸に露出しており、目の前に砂の袋の壁が出来たマンションの住民は、「この袋の設置後も、高波がまだ来ていないから、本当に上手くいくかはわからない」と語った。

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