「日系人が持ち込んだスポーツとして野球が盛んであるほか、毎年4月に行われる『ジャパン・フェスタ』でも、多くの人が集まり、日本の文化が広く紹介されていると伺いました。両国の多様な形の交流に、日系社会が深く寄与されていることを喜ばしく思います」。22日(日)午後3時半、サンパウロ州マリリア市で行われた地元日伯文化体育協会および市役所主催の歓迎式典で、眞子さまはそうお言葉をのべられ、日系人を励ました。当日のことを伝えるマリリア市役所サイトの記事(https://goo.gl/cLC7kF)は「忘れられない日曜日」との書き出しで写真を多用して熱烈に報じ、約600人が集まったとした。
式典直前、日本語学校教師の弓場アグネスさん(38、四世)に聞くと、「この日のために、今年の初めからリコーダーやハンドベルで『島人の宝』の合奏の練習を生徒たちは重ねてきてきました。無事にできることを心から願っています」と祈るように語った。
会場にいた瀬尾茂さん(79、二世)は「70年間マリリアに住んでいる。僕は養鶏をしていて手を空けられないので、三笠宮殿下が来られた時は歓迎に来られなかった。今は時間があるので来れてうれしい。」、妻の清子さんも「皇室の方に来て頂けるなど本当に喜ばしいこと。最近聞いて驚いたんですよ」と笑顔を見せた。
同じく会場にいた日下静江さん(76、二世)は「私はマリリアで生まれて、今までずっと住んでいます。三笠宮殿下の時も歓迎に行きました。16歳でした。一生のうちに二度も皇族をお出迎え出来るなど夢の様です」という。
式典では水野ケンイチ文協会長が「1958年に三笠宮殿下をお迎えしてお植えいただいたイッペーは、毎年花を咲かせている。それにちなんで命名されたプリンセス・ミカサ公立学校は今も続いて、子供たちが育っている。協会はこれからも日本文化を普及し続けます」と誓った。
ダニエル・アロンソ市長は「眞子さまがわが市に足をお運びになられたことを心から感謝し、市民と共に誇りに思います。日本移民はブラジルを信じて渡り、この国で重要な役割を果たしてきた。眞子さまは日伯交流のシンボル。ビバ!日系人」と叫んで歓迎の言葉を贈った。
市長と市議会議長から歓迎の記念プレートなどが贈呈され、最後に眞子さまが冒頭のお言葉をのべられた。すぐに日本語学校生徒による合奏、レキオス・エイサー太鼓、マリリア生長の家の子ども合唱、響和太鼓が披露された。
続いて、眞子さまは市役所前庭に移動され、三笠宮殿下が植えられたイッペーの前で御用車を降り、60年前と同じくイッペーを植樹された。今回のご来伯記念プレートを除幕され、最後に沿道の市民一人ひとりにゆっくりと握手をされると市民の感激が高まり、眞子さまが車に乗り込むのを惜しむように取り囲んで日伯の小旗を熱烈に振った。
周囲全方向に手をふって車に乗り込まれた眞子さまは、爽やかな余韻を残して立ち去った。
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ロンドリーナで眞子さまに贈呈された絵画は、アクリル絵の具をナイフで伸ばして描かれたもの。第一回移民船「笠戸丸」を南米の野鳥「アララ」が羽を広げて迎え入れ、ブラジルが日本移民を温かく受入れたことへの感謝を表現した。背景には、パラナ州の木であるアラウカリアが描かれている。絵画を描いた久保カルロスさん(68、二世)は、日伯外交120周年で15年に秋篠宮同妃両殿下がご訪問された際も、南部に生息する鳥「アオサンジャク」とさくらの花が描かれた作品を贈呈した。この作品と対になるものが制作され、鶴とイッペーの花が描かれた。そちら絵画は同文化体育協会の会館内に飾られている。もしかしたら、今回持ち帰られた絵画は、秋篠宮邸にて隣り合わせで飾られることになるかも?!