《ブラジル》大統領選支持率調査=ダッタフォーリャでボルソナロに予想外の展開=刺傷後わずか2%の微増=左派が逆に活気づく結果に=戦況はますます混沌化
10日に発表された、大統領選に関するダッタフォーリャの世論調査によると、6日に暴漢に刺された極右候補のジャイール・ボルソナロ氏(社会自由党・PSL)は、首位を維持したものの、支持率の伸びはわずか2ポイントに止まった、逆にシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)とフェルナンド・ハダジ氏(労働者党・PT)の左派勢力がそれ以上にポイントを伸ばすなど、予想を大きく裏切る形となった。11日付フォーリャ紙が報じている。
10日に全国197市で行われた調査では、6日に襲撃を受けたばかりで、連日のようにその動向が病院から報道されているボルソナロ氏の票の伸びが注目された。
だが、支持率は22%から24%へ、わずか2%ポイントの伸びに止まり、拒絶率も、依然、43%と、他候補を抜きん出ている。
国外のメディアでは、今回の刺傷事件でボルソナロ氏の勝機が強まったとの見方が強かったが、思わぬ結果となった。
2位のシロ氏は10%から13%に支持率を伸ばしたが、前回2位のマリーナ・シウヴァ氏(REDE)は、支持率が16%から11%に落ち、3位となった。
4位は政見放送持ち時間最長のジェラウド・アウキミン氏(民主社会党・PSDB)で、9%から10%に微増。5位は、11日に正式にルーラ氏から乗り換え、PTの大統領候補となったハダジ氏で、4%から9%に躍進した。
事前の予想では、ボルソナロ氏を刺した犯人のアデリオ・ビスポ・ダ・オリヴェイラ氏が急進左派の社会主義自由党(PSOL)に7年間在籍していた過去があったために、左派に響くかと思われていた。
だが、今回の事件の報道後も、ボルソナロ氏が手で銃の形を作っている姿やマシンガンを撃つ真似をする映像が流され、「暴力を煽ったのはボルソナロ氏」の一般的な印象が強まっていた。
さらに、左派側はネットなどを通じ、「暴力を挑発したのはボルソナロ氏だ」と反論。さらにルーラ氏夫人だった故マリーザ氏や、今年3月に射殺されたリオ市議のマリエーレ・フランコ氏が亡くなった際に、ボルソナロ氏の支持者が祝う行為を行ったことも、同氏への反感を強めていた。
また、先週末はPTが候補をハダジ氏に切り替える動きを活発化させていたタイミングでもあり、同党支持者内でのハダジ氏への熱が上がりはじめていた矢先でもあった。
今回のアンケートでマリーナ氏が支持率を下げたのは、ルーラ氏の出馬差し止めとハダジ氏確定で、PT支持者の間でのマリーナ氏への支持率が19%から10%に落ちたのが強い原因だ。
調査では決選投票のシミュレーションも行われたが、ボルソナロ氏は、シロ氏、マリーナ氏、アウキミン氏、ハダジ氏の4人のいずれにも敗れるという結果が出ている。