ブラジル愛知県人会(沢田功会長)は「創立60周年記念式典」を9日、サンパウロ市内の同会館で開催した。母県からは大村秀章県知事、松川浩明県議会議長ら21人の慶祝団が参列。ロンドリーナ支部など遠方からも会員や家族ら300人以上が駆けつけ、節目の年を盛大に祝した。
式典では両国国歌と県民歌斉唱の後、先没者に一分間の黙祷が捧げられた。沢田会長は挨拶で「県人会は故郷を想う心の拠り所であり、その存在は重要な意味を持っている」と振返り、60年の歩みに思いを馳せた。
さらに、後継者育成に大きな役割を果たしてきた県費留学制度に対して県庁に謝意を述べた。これまでに200人以上が留学研修し、同会が主導する県やブロックを越えた「屋台祭り」などでも、元留学研修生らの経験が生かされてきた。
沢田会長は「私もこの制度で学んだ一人」とし、「母県との友好の懸け橋」として引き続き制度の継続を求めた。
祝辞を述べた大村知事は、県内に5万5千人を超える日系ブラジル人を抱える一方、サンパウロ州内にトヨタ自動車をはじめ地場企業が50社以上進出しているなど、繋がりを強調。また、愛知県とサンパウロ州の間で姉妹都市交流が締結されることを明かし、「愛知は大阪を抜かし、GDPが東京都に次ぐ2位となった。皆様の故郷は日本の成長のエンジンとして発展してゆく。日本とブラジル、愛知とサンパウロの関係が益々深まるよう県人会の力添えを」と協力を訴えた。
その他、野口泰在聖総領事、デール・ポール・ジョセフサンパウロ州環境局代表、山田康夫県連会長、県費留学生OBを代表し丹羽拓也さんが祝辞を述べた。県庁からは同館に設置されるエレベーター、県議会からは改装が進む3階学生寮のため電化製品一式の目録を贈呈。80歳以上高齢者に対して、知事から敬老者賀寿状が授与された。
エレベーター着工式が執り行われ、県庁から太鼓一式の寄贈を受けて同会館で活動する「ひまわり太鼓」の演奏で祝賀会に移り、ケーキカットで節目を祝した。
式典を終えて、沢田会長は「今回寄贈して頂いたエレベーターの設置により、高齢者の方にも利用しやすくなった。楽しく会館に集ってもらう場所にするなかで、次世代育成にも取組んでいきたい」と見通しを語った。
□関連コラム□大耳小耳
愛知県人会創立60周年式典で、高齢者表彰を受けたパラナ州クリチバ在住の大山多恵子さん(81、愛知県)は「59年に花嫁移民で渡伯し、来年で60年。今が一番幸せ。次男も県費留学でお世話になり、4人の子供達も立派に育ってくれました」と笑みを浮かべていた。同じくパラナ州のロンドリーナ支部から駆けつけた鈴木幸夫さん(76、愛知県)は「昔は母県から農業高校生が研修に来て、ロンドリーナで世話をしたこともあった」と懐かしみ、「今ではロンドリーナの会員も24世帯ほど。県人会の意義が薄れていくのは時代に逆らえないことだが、これを機に人的交流が生まれれば」と期待を語った。