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大統領選の投票日直前に急展開=ボウソナロとハダジで決戦へ=聖市在住 駒形 秀雄

ハダジ候補(Ricardo Stuckert)

ハダジ候補(Ricardo Stuckert)

 春にしては寒い10月7日、ブラジル全土で大きな事故もなく、総選挙が行われました。
 注目の大統領選挙では強硬派と言われるボウソナロ(PSL党)が5千万近い票を集めて1位、ハダジ(PT党)が3千万票で2位となり、この二人で10月28日の第2次選挙が争われることになります。大方の期待に反してアルキミン(PSDB党)やマリナ(REDE党)などの良識派は振るわず,この国を運営するという夢は叶わないこととなりました。
 女性蔑視、武力活用のボウソナロには拒絶反応を示す有権者が多く(40%以上)、これ以上支持は伸びないのでは、とみられていたのですが、投票日を数日後に控えてこれが伸び、1回戦で過半数目前までに達し、観測者を驚かせました。

ボウソナロ候補(Foto: Wilson Dias/Agencia Brasil (16/12/2014))

ボウソナロ候補(Foto: Wilson Dias/Agencia Brasil (16/12/2014))

 一方、ハダジはご存知の通り立候補期限ギリギリでルーラ(PT、失格)から地盤を譲り受け、急に支持率を伸ばして来た経緯があります。
 このハダジ(PT)の急激な伸張には対立の各候補、市民共ども、恐怖感を覚える程でした。一体どうしてこの様な結果になったのでしょう。

▼現実を見つめた有権者

 この状況分析の前に良識を持った善良な市民、斉藤さんの言動を紹介しましょう。
 斉藤さん曰く「私は元々まっとうで、我々と同じ様な考えを持つアルキミンに投票しようと決めていました。ところが、多くの中間党と提携してTV広報時間も最長のアルキミンが支持者を伸ばさず、決選投票に行くのはボウソナロかハダジだと分かったのです。
 折角貴重な一票を投じるのに、当選出来ない人に入れる「死に票」にはしたくありません。何か素っ頓狂なことを言って注目を集めようとするボウソナロも気に入らないし、さりとて何か言うと直ぐ大衆デモやストに訴え、法を無視するようなPT(ハダジ)も気に入らない。
 さて、と色々考えたが、結局、市中の犯罪を取り締まり、市民がもっと安んじて暮らせる様にすると言うボウソナロに入れることにしました」です。
 サンパウロなど大都市に住む善良な一般市民は大体この斉藤さんと同じように考えたのでしょう。右でも左でもない民主主義を好む中間良識層が投票日を控えて主としてボウソナロに流れたのだと考えられています。ブラジルの人は案外穏健で、保守的でもあるようですね。

▼今回選挙のトピックス

 あまり同じ大統領選挙の話ばかりでは面白くないので、ここで一寸話題をかえて、今回選挙のトピックスをご紹介致しましょう。
★前回大統領を務めていたジウマさんは「被選挙権」までは失っていないということで、彼女の出身地ミナス州に居を移し、ここの上院議員に立候補しました。
 下馬評では人気トップで無事当選かと思われて居たのですが、あにはからんや、上述の様なPT嫌いが作用したか、敢え無く落選(無職)となりました。このような結果は他のPTの有名議員にも見られ、もとマタラゾ一族のスプリシー(S.P)や、もと学生運動の闘士リンデンベルグ(RIO)も同様落選です。
★ブラジリアの上院議員には元女子バレーボール代表が当選しています。逆に元サッカー選手のロマリオはリオ州知事に立候補したが落選です。
★芸能界からは「こんな魑魅魍魎の住む政治の世界はもういやだ、俺は辞める」と宣言して注目を集めた喜劇役者チリリカが再度当選です。40万票以上を集めて自党の下位得票者の当選に貢献しています。
 パラナ州の知事には社会批評などで高名なTV司会者、ラッチーニョの息子が初当選です。親の知名度のお陰も考えられますね。スポーツとか芸能とか、マスコミで名を売るのも近代選挙での勝利の近道かも知れません。
★本当は身近なニッケイ候補の当落もご報告したいのですが、本日は時間切れ割愛です。お許し下さい。

▼泣いても笑っても後 1カ月

 今月28日の決戦投票日まで後、1カ月ちょっと。この間、ボウソナロとハダジ勢力が激突する訳ですが、どのような選挙戦になるのでしょうか? 両者とも男性的な実力派なので中々の見ものとなりそうです。TV局などの討論会で両者が直接対決すると、どうなるのか? 興味をそそります。
 ハダジは今日(8日)早速クリチバで留置されている親分(ブラジルではPADRINHOと言う)ルーラに現状報告、今後の作戦の協議に向かいました。ボウソナロは腸を切った事件の予後で自宅療養中ですが、もうあれから1カ月、普通の動きなどは出来るようです。全体主義的なボウソナロと社会主義的なハダジ、政策は対立するところが多い。
 しかし、あまり極端なことを言うと折角の中間層が離れてしますリスクがあります。ボウソナロなどは女性の気を引くような言動に改めているし、中間派に合わせたような穏やかな政策も打ち上げています。TVで両者が市民の前で議論すると大学で教えていたこともあり、議論になれている、若いハダジが有利に見えそうです。ボウソナロが(ドクターストップ)を口実に直接対決を避けて、今まで通りFACE BOOKなどを主とするIT宣伝で別の道を行くか? これも注目でしょう。
 私たち一般市民としては、各党派の利害などは2の次、あまり極端な政策は取らず、まずは1300万人もいる失業者を減らす政策を願いたい。また、市民が安心して街をあるけるような、平穏な社会を作って貰いたい。
 両者、両派が国民の前で以上の様な政策を議論して住み良い、希望の持てるブラジルにして貰いたい。そう願うところです。(ご意見は==> hhkomagata@gmail.com

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