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《ブラジル》大統領がCOVAX参加を承認=求められるワクチンの多様化

コバクシン(Twitter)

 ボルソナロ大統領は2日、世界保健機関(WHO)が推進している新型コロナウイルスに対するワクチン供給計画の「COVAXファシリティ」に参加し、同計画が供給するワクチンは国家衛生監督庁(ANVISA)の緊急使用許可や正式登録許可を得ていなくても購入できるとする法案を裁可し、同日付官報に掲載した。
 COVAXファシリティは、高・中所得国が自ら資金を出して自国用のワクチンを購入する仕組みと、国や団体などからの寄付(拠出金)によって途上国へのワクチン供給を行う仕組を組み合わせたもので、世界150カ国が参加している。この法案裁可により、連邦政府はCOVAXファシリティが承認、供給するワクチンをANVISAの許可を得ずに購入することが可能となった。
 ブラジルは上半期に、COVAXを通してオックスフォード・ワクチン1060万回分を購入する。WHOとの合意では、ブラジルは4200万回分のワクチン購入で25億レアルを支払うことになっている。
 大統領は連邦議会が承認したワクチン購入を容易にする暫定令(MP)も裁可し、同日付官報に掲載した。だたし、同MPと先の法案では、国際的な衛生監督機関が承認したワクチンは、ANVISAも5日以内に緊急使用を承認するよう定めた項目などに、大統領は拒否権を行使している。

 この項目への拒否権行使は、上院が2月にMPを承認した直後にANVISAのアントニオ・バーラ・トーレス理事長が大統領に依頼していたことで、1日にも拒否権行使の可能性が言及されていた。今回の官報ではこれをはじめ、数カ所が「違憲」とされ、拒否権行使の対象となった。
 ANVISAが緊急使用を許可したワクチンは、コロナバックとオックスフォード・ワクチンのみだが、保健省は既に、インド製のコヴァクシンとロシア製のスプートニクVの購入を決めている。
 一方、ANVISAが2月23日にブラジルでの正式登録を承認した米国ファイザー社のワクチンを大統領は嫌い、今もなお、副反応が起きた場合の賠償責任はワクチンを製造した会社が負うべきと主張している。
 他方、ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事やルイ・コスタ・バイア州知事などは、ロシアのワクチンでアルゼンチンなどで既に使用されている「スプートニクV」の緊急使用承認も求め始めている。
 ANVISAは1日に職員をインドに派遣し、コヴァクシンを製造する会社の監査を始めた。

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