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ボウソナロがアマゾン絶滅?!=地球温暖化を悪化させるか=パラグァイ在住 坂本邦雄

摘発を受けた法定アマゾン内の違法伐採地域(Foto: Mayke Toscano/Gcom-MT)

摘発を受けた法定アマゾン内の違法伐採地域(Foto: Mayke Toscano/Gcom-MT)

 環境保護運動には、悪いニュースである。
 世界の海洋は予想よりも急速に加温化が進んでいると、最近憂うべき国際研究の結果が報じられている際に、伯国のジャイル・ボウソナロ新大統領は、驚いた事に、気候変動の世界的問題を加速し兼ねない、アマゾナス州熱帯林の大規模な伐採を近々許可する方針だと言う。
 この事は、国連の5年前のパネルで、既に危険か指摘された海洋の過熱化が、最近は当時より40%も速まっている問題を指摘した、権威ある科学雑誌『サイエンス』が掲載した記事の筆者の一人、ジーク・ハウスファーザー(Zeke Hausufather)と会見の席上で、ボウソナロ氏の名前が飛び出した話である。
 これは、外の関連弊害も含めて、更なる北極海の融氷度やハリケーンの強襲が増す結果をもたらす。
 なぜ、予想以上の速度で世界の大洋は加温化しているのかの問いに対して、ハウスファーザーは、中国が他の世界の国々の消費を一緒にした量と同様のボリュームの石炭を燃やしている事を挙げた。
 中国とアメリカは、地球を汚染している最大の国々である。そして、中国は近来、その筆頭加害国になった。
 しかし、未来的視野で観察する科学者の間では、もしボウソナロ氏がアマゾナスの、部分的商業開発プランを実際に遂行するなら、ブラジルは件の問題の更なる大きな加担国になる恐れが有ると指摘される。
 この正月元旦に、新大統領に就任した、元連邦議員で極右派のボウソナロ氏は、〝南米のロナルド・トランプ〟だと自負し、地球温暖化説に対する懐疑的な見方を隠す事はない。
 彼は選挙運動中、公約の一つに更に多くの農産企業のアマゾナスへの進出を許す事を挙げていた。
 そして、環境保護機関を非難し、NGO=非政府組織は、ブラジル経済を窒息させていると批判した。
 就任後、ボウソナロ大統領は選挙公約の幾つかを果たした。
 環境大臣には、ブラジル農村企業を代表する協会の元本任理事、リカルド・セリェス氏(Ricardo Selles)を登用した。
 なお、最初の政令の一つで、大統領は農務大臣に対し、環境保護機関または原住民の権利庇護の為よりも、アマゾナスの民間による商業的開発に友情的な、広範な規制権限を委譲した。
 また、ボウソナロ氏はNGO=非政府組織の監督を命じる政令=Decreto(大統領令)を公布した。未知数なのは、この行政命令は全NOGが対象なのか、あるいは政府の資金援助を受けているNGOに限ったものか、ハッキリしていない。
 ハウスファーザーは、この実行又はその他の措置が、地球規模の気候変動に来す破壊的なインパクトは、計り知れないものがあると言う。
 同科学者によると、「もし、ブラジルが本当にアマゾナスの熱帯林の保存に全く関心がなく、その土地をただ、農業耕作地に変えたいと言う事であれば、正に破局的な大災難を招くであろう」と言う意見である。
 これまでは、ブラジルは環境政策のモデル国であった。数10年前から砂糖黍から採ったエタノールを車両の燃料にするなどの先鞭を着けた国である。そして、数年来はアマゾナスの熱帯林の乱伐率をかなり減少していた。
 もしも、ボウソナロ新大統領がアマゾナス熱帯林の商業開発に踏み切って、その豊かな森林の宝庫で、大量の炭素の保有を守る、尊い資源を無情に焼き畑に変えてしまえば、大気の二酸化炭素を格段に増大する事になる。
 確かに、国際社会はブラジルに対して、圧力を掛ける事は出来るだろう。
 しかし、最終的にはブラジルが、自国の為にも自主的に決めなければならない課題であり、新政権が示唆した幾つかの政策案は実行に移されない様に期待したい、とハウスファーザーは語った。
 問題は、ボウソナロ大統領は、アマゾナスの保護熱帯林を商業開発したい強力な、かつ多くの連邦議員の支援も有する、決定的な農産企業のバックが有ってこそ当選した事だ。
 連邦議会で、多数派の支持を持たないボウソナロ氏は、政府プログラムの議決を得るには、それ等の議員の力も借りなければならないだろうと言う事だ。
 これまでの短期間中に主張した、あるいは実行した件等は別として、ボウソナロ大統領はアマゾナスの問題に深入りするのは、即ちブラジル全体の将来の問題に関わり、及んでは地球温暖化に、重大な害をもたらしらしめる責任を自覚すべきである。
 願わくは、ボウソナロ大統領は深く反省し、しかるべきリーダシップを充分に発揮しブラジルの、及び世界の為に善政を布いて貰いたいものだ。(筆者註・本稿は今月の22日付の当地ABC紙に掲載された、マイアミ在のアンドレス・オッペンハイマー記者の記事を参考にしたものです)

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