ブラジルのサッカー界は1月下旬にほとんどの州選手権が開幕し、先週末には各州の優勝チームが出そろった。今週末からは全国リーグ(ブラジレイロン)が開幕する。昨年12月まで長いシーズンを戦い、短すぎるオフが明けたばかりのトップレベルのチーム、選手にとって、各州選手権は〝ブラジレイロン開幕前の調整〟の感が否めない。
4部まである全国レベルのリーグ戦に出場できないチームも、各州選手権には多く出場する。そうしたチーム所属の選手にとって、ブラジレイロンに出場するようなチームとの対戦は、自分をアピールする大きなチャンスだ。弱小チームの選手でも、州選手権で目をつけられるような活躍をすれば、一気に国内のビッグクラブと契約を掴むことさえ夢ではない。実際、そうやって出世した選手は決して少なくない。
特にサンパウロ州選手権には、全国1部で上位を争うようなチームが四つ(コリンチャンス、サンパウロFC、パルメイラス、サントスFC)もあるため、それらのチームとの対戦にはおのずと力が入る。今年のサンパウロ州選手権で、アピールに成功し、ビッグチャンスをつかんだのが、全国リーグ4部イトゥアーノのFWマルチネッリ(17)だ。
イトゥアーノは、今年のサンパウロ州選手権ではグループリーグを勝ち抜いてベスト8まで勝ち上がった。マルチネッリはイトゥアーノで不動のエースストライカーとして活躍。14試合に出場し、大会2位タイとなる6得点を記録。大会のベストイレブンに選出された。
この活躍でマルチネッリには現在、国内8チーム、国外17チームの、合わせて25チームのスカウトが殺到しているという。彼の獲得を狙うチームの中には、イングランドの名門アーセナルの名まであるという。国内でも、獲得に乗り出しているのはコリンチャンス、パルメイラス、サントス、フラメンゴ、アトレチコ・ミネイロなど、強豪ばかりだ。
元々、マルチネッリはサンパウロ市で育ち、コリンチャンスの下部組織に13歳まで所属。チームきってのエースストライカーだった。だが、親の仕事の都合で郊外のイトゥ市に引っ越すことになり、所属も同市のチーム、イトゥアーノに移った。だが、環境が変わっても、彼はレベルを落とすことなく活躍し、同チームにとって欠かせない選手となっていた。昨年は、全国選手権には出られないチーム限定の大会、コパ・パウリスタで頭角を現すと今年のサンパウロ州選手権でブレイクした。
一部報道によると、「5月中旬からアーセナルに移籍」という噂も出ているが、それが実現したら、大きなステップアップとして話題になりそうだ。(3月18日付および4月23日付グローボエスポルテより)