ホーム | 特集 | 世界救世教ブラジル宣教本部竣工50周年 | 【世界救世教ブラジル宣教本部竣工50周年】ブラジル豊かに、日本大切に=環境意識育てる岡田茂吉財団=食の安心届けるコーリン

【世界救世教ブラジル宣教本部竣工50周年】ブラジル豊かに、日本大切に=環境意識育てる岡田茂吉財団=食の安心届けるコーリン

サンパウロ州イペウナ市の岡田茂吉研究所とコーリン農畜産社

サンパウロ州イペウナ市の岡田茂吉研究所とコーリン農畜産社

 ブラジル岡田茂吉財団は、環境活動によって一般市民の意識向上を図り、コーリン農畜産社は安心な有機生産物を消費者に届ける活動を通して、ブラジル国民に本当の豊かさを伝えることに精進している。日本との関係は長年重視されており、聖地参拝団参加者数は1万人を越えた。専従資格者の要請プログラムによって約400人が日本で研修して慶応大学や東京外語大などで学び、その優秀な日本語能力をもってみ教えを深く理解し、一般市民に分かりやすく説くことが可能な人材を輩出している。「助け合い運動」で支援した総額は現在までに10億円近い。

▼先進的な環境への取り組み

 ブラジル世界救世教は、岡田茂吉が提唱した自然農法(無農薬無肥料栽培)の理念を当地にもたらし、その様々な活動によって農畜産業に大きな影響・変化を与えている。教団では国連が定めた6月5日の「世界環境デー」に合わせ、毎年6月第1週目に環境活動を行なっている。
 教団は1975年にサンパウロ州アチバイア市に農地を購入し、当地初の自然農法生産に特化した農場を開始。90年には同州イペウナ市にも農地を持ち、岡田茂吉研究所とコーリン農畜産社(94年創業)を設けた。
 教団の畜産方法は、JBS社やBRF社といったブラジルを代表する大手食品メーカーが模倣。更に世界的な大手企業の米タイソンフーズ社も訪れ、一年後にコーリン方式の抗生物質を一切使用しない鶏肉の発売を行った。この同分野への取り組みは10を超える国際会議で模範の一つとして紹介され、国際的な基準となっている。
 また、ボカシを使った無農薬農業の草分け的存在として活動し、その概念を全国に普及。CNPO(全国有機農家登録)に登録されている1万5千超の有機認証農業者にボカシが認知され、大きな技術的・経済的恩恵を与えた。
 更に、同社の関係者らは業界でも重要な役割を兼任する。コーリン農業・自然環境社の現最高経営責任者は、ブラジル有機農業事務局(公共政策及び国内外の有機農業分野発展のため、農務省の決定をサポートする組織)の代表を4年も務めている。
 ブラジル岡田茂吉財団は03年12月23日に成立した有機生産物法の作成にも参加。それ以外にも、同分野に関連する主な公共政策の制定にも関わり、PEAPO(サンパウロ有機農業並びにアグロエコロジー州政策)の考案と承認にも大きく貢献した。
 15年には、コーリン農業・自然環境社CEO、ルイス・デマテ氏の博士論文が、約500の論文の中から優れた研究を行った者に授与されるCAPES(ブラジル高等教育支援・評価機構)論文賞を受賞した。
 コーリン農畜産社CEOのレジナルド・モリカワ氏は、16年にその取り組みからブラジル国内の農業関連産業で最も影響力のある100人の一人に選出された。
 また教団では、自然農法産の種子の研究・開発プログラムを実施している。今年は岡田茂吉研究所、コーリングループの二社を統合し、『コーリン農業・自然環境社』を設立した。
 15年には、救世大学(メシアニカ大学)と共同で自然農法を専門に学ぶプログラムが開設され、二期にわたり卒業生を輩出している。
 その他にも、これまでに300人を超える農学分野の学生たちが教団のインターン制度を通じて様々な仕事を体験している。

▼1万人が日本聖地参拝団

1970年の日本聖地参拝団

1970年の日本聖地参拝団

 ブラジル世界救世教は1970年以来、ブラジル人参拝団を日本の聖地へ定期的に送り出している。その数は、現在までに日本を訪問したブラジル人参拝団数が237、参拝団参加者数が1万44人。教団でも力を入れており、日伯の交流に貢献している事業だ。

▼資格者養成会で人材育成

 1960年代末、ブラジル世界救世教は同国初となる資格者養成会を設立した。71年、日本の総本部が国際研修課を設立して以降は、専従資格者の養成プログラムに日本語学習が組み込まれ、研修生の多くに日本での研修機会が与えられている。
 現在までに男子資格養成会、女子資格養成会、自然農法研究会の三つを合わせ、合計で59グループが研修を終了。総計695人の青年らが資格者養成プログラムを受講し、内398人が日本での研修に参加した。
 中には慶応義塾、立教、東京外国語、同志社、筑波、一橋といった日本の国立・私立大学の学士課程で学び、日伯両国の絆の強化に務める人材もいる。

▼10億円に届く助け合い

 「善の種とは他人を喜ばせ、他人に利益を与える利他愛観念である」という岡田茂吉の言葉にならい、財団は1973年に様々な形の相互扶助を促進するため、歳末助け合い運動を開始した。
 「年末だけでなく年間を通じて行ってほしい」という寄付先団体からの要望を受け、同運動はブラジル世界救世教の布教拠点で常時実施し、07年以降に名称を「歳末助け合い」から「助け合い運動」へと変更した。
 寄付先数は1万382団体、寄付総額は米ドルで893万7179・66ドル(約9億8025万円)に上る。

image_print