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「日系社会には未来がある」=菊地110周年実行委員長講演会=業績の裏に秘めた熱い想い語る

画面を指さしながら説明する菊地さん

画面を指さしながら説明する菊地さん

 「2回訪日して24県お願いして回って交通費、お土産代、ホテル代、食事代など使ったけど、1センターボも110周年協会のお金は使っていない。それを理解してくれた家族に心から感謝したい」―ブラジル日本移民110周年祭典委員会の菊地義治実行委員長(79、岩手県)は4月28日夜に県連会議室で行われた、サンパウロ人文科学研究所主催の講演会でそう語り、拍手を浴びた。

 昨年盛大に開催された日本移民110周年の実行委員長として、大活躍した菊地さん。一昨年の5月に委員会は発足し、「総予算400万レアル。100万レアルを式典、300万レアルを国士館スポーツセンター改修事業に残す」という“壮大な構想”をぶち上げた。
 内部スタッフですら不可能だと思っていたにも関わらず、孤軍奮闘、わずか1年余りで実際に350万レアルを集めた。250万レアルを国士館に残し、今年4月にはパビリオン建設が着工された。多くの人が協力したのは間違いない。だが、実行委員長の手腕が大きいのは、一世・二世を問わず衆目の一致するところだ。

長女、マリザさん、菊地さん、次女、孫

長女、マリザさん、菊地さん、次女、孫

 菊地さんは講演で、産業開発青年隊として渡伯してウムアラマで合宿生活した話から始めた。マイザさんとの結婚を機に本門仏立宗に入信。以来、毎朝欠かさずお寺に通って念仏を唱えるお勤めをしていると明かした。
 「自分のためでなく人のためにやりなさい。そうすれば自然に自分も儲かる。お坊さんから、そう商売成功の秘訣を教えてもらい、実践している」と信仰心の篤い生活を続けている。その延長線上にコロニアでの活動があることを示唆した。
 110周年では、35レアルの協力券が10枚はいった束を5千冊つくり、うち135万レアル分を売り切った。「1冊とか10冊じゃない。100冊を持って歩いて、売れなかったら自分で買う積もりでやった。例えば盛和塾では夜の勉強会に参加して深夜12時まで待った。そしたら50冊を買ってくれた。何事も努力しないと売れない。人間関係を作らないと」と一見華やかな業績の裏には地味な積み重ねがあることを強調した。
 「日系社会には未来がある。日本人が持っている伝統、日本精神、家族や親を守る心、ボランティア精神を伝えなくては。それには教育が一番大事。日系人のアイデンティティを守っていくためには日伯学園が必要だと思っている」と締めくくった。
 会場一杯、約70人の来場者の一人、馬場アヤ子さん(72、佐賀県)は「1961年から菊地さんを知っている。東北の人らしく、昔から粘り強さがあった。でもこんなに立派になるとはあの頃は想像もできなかった」と感嘆した。
 妻マリザさん(77、二世)は「他人のことばかり心配する人。私は『適当にしなさい』って怒るけど、『オレが生きているうちは、こうやって死んでいくんだ』っていうから仕方ないのよ」とあきれ顔を浮かべ、次女ロザナさん(50)は「父は家族の誇り。いつも頭に夢があって、それに邁進する。でも、家の中ではブラーボ(厳しい)なんですよ。子どもの頃、成績が悪かったり、怠けたりするとホントに怖かった」と笑った。


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 菊地義治110周年実行委員長がコロニアの公職についたのは、1990年の岩手県人会会長が最初。その後は県連副会長として日本祭り立ち上げ、ふるさと創生交流事業に貢献した。前者は県連の中心事業になり、後者からは現在の日系社会を支えるリーダーが多く育った。その後、サンパウロ日伯援護協会の理事となり、日伯友好病院を担当して経営立て直しに貢献。プロミスの神内良一会長と良好な関係を築いて新病棟建設に億円単位の寄付をえることに成功した。03年の戦後移住50周年では、「戦後だけで祝うのは無意味」と反対する一部戦前移民や邦字紙の反対を押し切って資金集めを強行し、盛大に祝った立役者の一人でもある。そんな中で築いた人脈が、今回110周年では見事に活かされた。「もう引退だよ」と謙遜するが、ぜひもうひと踏ん張り、日伯学園も手がけてほしいところ?!

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