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サントス=長崎の路面電車が運行開始=龍踊り先導しペレ博物館脇出発=行き先「正覚寺下」そのまま

長崎市から贈られた電車と長崎県人会会員ら

 ブラジルを代表する港町サントスの観光シンボルといえば、路面電車だ。市民の足であると同時に、多くの観光客も楽しみに乗る。その路面電車に、姉妹都市提携を結ぶ長崎県長崎市から寄贈された車両が5日から運行を開始した。車体には長崎電気軌道(株)時代の「正覚寺下」などの標示がそのまま残っている。電車の公開は4~6日に市が開催した「第1回移民祭り」の一部として行われ、サントス日本人会(中井貞夫会長)の会員に加え、聖市からもブラジル長崎県人会(川添博会長)の会員ら45人が駆け付けて母県の伝統芸能を披露するなどし、盛大に祝した。

関係者ら(左から3番目が中井市議、右に川添会長、パウロ市長)

 聖州サントス市(パウロ・アレシャンドレ・バルボーザ市長)は5日昼、第1回移民祭りの日本文化発表プログラムとして、2016年に長崎市から贈られ、運行できるよう改修した路面電車を公開した。ヴァロンゴ駅の発着所前で電車を走行させた。電車は1950年製造。長崎市内を走り、14年に日本で運行を終えていた。
 発着所前にあるペレ博物館の脇から発車。同県人会会員が龍(じゃ)踊りを披露し、龍が電車を先導する形で、路面電車発着所へのレールをゆっくりと進んだ。龍踊りの龍体も、長崎市から電車と共に贈られたもの。
 電車の運行開始を祝う式典も催され、田上富久・長崎市長から「長崎の町のシンボルといえる路面電車が、サントスの町を駆け抜け、龍が空高く舞う姿を想像するだけで胸が高鳴ります。長崎市とサントス市、伯国の絆が深まり、未来へつながる交流になっていることを嬉しく、心強く思っています」とのメッセージが届けられ、川添会長が代読した。
 川添会長自身も「贈られた電車、龍を通して、県人会の青年が日本文化に親しみを持ち、日本文化の継承、県人であるという意識の深化に寄与してくれれば」と今後の期待を語った。バルボーザ市長から川添会長に長崎市宛ての記念プレートも贈られた。
 サントス市のオダイール・ゴンザレス観光局長は「日本移民を乗せた笠戸丸が入港したサントスで、日伯、ひいては民族の協和を表現した」と語った。
 電車の改修担当責任者を務めたマルクス・ロジェリオさんは「日伯では電車の規格が違う上、伯国にない部品もあり、改修にあたってまず構造を理解し、日本の文化も伝えるため、日本でどのように使われていたのか勉強するところから始めた」と明かした。

 日本で運行されていた時代の「運賃大人120円」などの標示をあえて残した上、大戦下の長崎市の様子を記したポ語説明書きも新たに取り付けられている。
 式典の後、電車の前でブラジル健康表現体操協会の川添敏江会長らが『世界に一つだけの花』、『イペ音頭』などの楽曲に合わせて踊りを披露。来場者も引き入れ、会場一体となって祝いの場を盛り上げ、音楽が終わると広場は拍手と歓声に包まれた。
 電車の公開の前には、日本文化発表のプログラムとして、近くの特設ステージで響和太鼓による迫力の演奏や、同県人会会員の皿踊り、ブラジル岐阜県人会会員らの郡上踊りも披露され、来場者を楽しませた。
 今回の寄贈は、中井氏がサントス市議会議長を務めていた際に提案。12年には電車の寄贈が決まり、同年に長崎県人会創立50周年、姉妹都市提携40周年を迎え、来伯した田上市長が龍踊りに使う龍体も共に寄贈することを発表した。
 14年には川添会長とサントス市の関係者らが訪日し、両市の電車の寄贈に関する正式な手続きを行った。16年に電車と龍体がサントス港に到着した。日本からの電車の寄贈は初となる。
 現在イタリア、ポルトガルなどから寄贈された8台の電車も運行しており、今回の車両も他と同じように利用される。


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 2016年に長崎市から寄贈された路面電車が改修を終え、5日に公開された。改修担当責任者を務めたマルクス・ロジェリオさんによると「改修の作業自体は半年程だったが、改修や運行に関わる手続きに2年半を要した」とのこと。この手続きの長さが、企業関係者らがよく口にする、伯国の手続きの煩雑さを表す「ブラジルコスト」なのだろう。長崎市の関係者も「電車はまだ運行しないのか」と気をもんだのでは。
     ◎
 長崎市から贈られた電車のあちこちに、かわいらしい猫のキャラクターが描かれているのを見つけた。調べてみると、長崎市で路面電車の運行・管理を行う長崎電気軌道(株)のマスコットキャラクター「ながにゃん」だ。日本ではマスコットキャラクターが一大ブームを巻き起こすこともある。サントスでも、ながにゃんが旋風を起こすか?!

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