ブラジル日本商工会議所の異業種交流委員会(長野昌幸委員長)は「女子ラグビー元日本代表・井上真理恵さんトークショー」を2日夜、サンパウロ市の商議所内で開催した。駐在員やその家族ら約40人が来場し、井上さん(旧姓=山口)が紹介するラグビーを始めたきっかけや、現在日本で開催中のラグビーW杯(男子15人制)の見どころなどに聞き入った。
井上さんは開催中のW杯について、3人の注目選手を紹介した。ニュージーランドの司令塔、ボーデン・バレット選手は兄弟のうち3人が代表メンバー。イングランドのオーウェン・ファレル選手は、ゴールポストをにらむようにキックをする様子が注目点。日本代表では主将のリーチ・マイケル選手を挙げた。運動量、突破力もあり、日英両語を使いこなし、統率力があるとのこと。
井上さんは、女子7人制ラグビーの日本代表「サクラセブンズ」として16年のリオ五輪に出場。現在はサンパウロ市でパーソナルトレーナーとして活動し、アマチュアのチームでプレーする。
小学生の頃に、地域住民にタグラグビーを教わり、ラグビーにも興味を持った。中学校時代に関東学院大学卒業生のクラブチーム「釜利谷クラブ」でラグビーを始めた。高校では15人制のユース代表としてニュージーランド遠征を経験。海外での体験から海外志向を強めた。
リオ五輪直前には、国際大会で上位に入れず、選手もコーチ陣も五輪のような大きな大会の経験がなく、けが人も続出。最良の状況には遠かった。五輪の結果は4戦1勝3敗。井上さんは「精神面や選手起用について、大舞台で初めてのことだらけだった」と苦い経験を語った。
五輪の後、井上さんは「代表としてできることはやり切った」と27歳で引退を決意。夫の仕事の関係で2年前からブラジルに住み始めた。
質疑応答では、ブラジル人のラグビーの特徴について聞かれ、井上さんは「ブラジル人のラグビースタイルには、サッカー文化が入っているように見える。少しひきょうなプレーが多い」と話し、会場の笑いを誘った。
来場者の駐在員・清水悠一郎さん(41、神奈川県)は、「ラグビーの面白さをより深く知ることができた」と感想を笑顔で話した。当日はサンパウロ市在住でサッカー関係の執筆、取材活動などを行う大野美夏さんが進行役を務めた。
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7人制ラグビーは、15人制と同じフィールドで、7分を2セットで試合が行われる。1日3戦し、それが2日続くこともあるとか。15人制より人数が少ないため、タックルも少なく、走る場面やボールの移動が増え、走力や個人技が重要となるという。人数が違えばプレーも大きく変わるとのことで、奥が深い。