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《サンパウロ州》20年ぶりに出血熱の犠牲者=ソロカバ市在住の男性が死亡

21日付フォーリャ紙のサイト記事に掲載されたアレナウイルス(世界保健機構のボレティンより)

 保健省が20日、サンパウロ州内陸部のソロカバ市に住んでいた男性が出血熱で死亡したと発表した。

 同省によると、この男性は、アレナウイルス科のマンマレナウイルスに感染していた事が判明したという。マンマレナウイルスは、ブラジル出血熱の原因とされたサビアウイルスと似ており、一部の保健省関係者は、サビア・ライク(サビアに似た)ウイルスとも呼んでいる。

 亡くなったのは52歳の男性で、ソロカバ市ヴィラ・カルヴァリョに住んでいた。発症は昨年12月30日で、エルドラード市やピリケーラ―アスー市、サンパウロ市の病院を経て、サンパウロ総合大学付属クリニカス病院に入院。11日に同病院で死亡した。

 医師達は黄熱病やウイルス性肝炎、レプトスピラ症、デング熱、ジカ熱などを疑ったが、検査結果はどれも陰性だった。

 男性は生前にサンパウロ州内のイタペヴァ、イトポランガの両市を訪れており、旅行中にウイルスに感染した可能があるが、外国旅行の経験はなかった。

 男性が感染した経路や場所は何もわかっておらず、保健省は流行の危険性を否定しつつ、世界保健機構にも報告書を提出した。

 ブラジルで出血熱による死者が出たのは1990年代で、サンパウロ州の森林地帯で罹患した例が3件ある。パラー州でも1件、実験的な環境下で死者が出た例が1件ある。最後に死者が出たのは1999年だ。

 アレナウイルスに感染した場合の潜伏期間は21日と長く、発熱や気分の悪さ、筋肉の痛み、赤い発疹、のどや胃、目の奥の痛み、頭痛、眩暈、光に敏感になる、便秘、粘膜出血などの症状が出る。症状が進むと、眠気や精神錯乱、発作、行動の変化といった神経障害を呈する事もある。

 アレナウイルスによる出血熱は、ウイルスに感染したネズミなどの糞尿や唾液に触れたり、吸い込んだりする事で罹患し得る。また、ごく身近な所で長時間、患者に接した場合や、病院内で適切な保護具を使用しなかった場合などに、血液や糞尿、唾液、としゃ物、精液その他の分泌物や排泄物に触れて感染する可能性もある。

 汎米保健機構によると、南米では昨年、ボリビアで出血熱の流行を見ている。

 アレナウイルスは人から人への感染も引き起こすため、男性の家族や男性が治療を受けた病院の医師などは当面、観察下に置かれる事になる。また、保健省は、サンパウロ州保健局やクリニカス病院の関係者、国家保健審議会のメンバーと、同件に関する話し合いの場を設ける意向だ。(21日付エスタード紙、同G1サイト、同アジェンシア・ブラジルなどより)

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