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《ブラジル》アラス検察庁長官=大統領擁護の意見書提出=検察・司法界に波紋広がる

 【既報関連】新型コロナウイルス対策に関し、社会的隔離に反対するボルソナロ大統領の言動に対する批判的な請求を却下し続けた上に、「大統領が国の政策を決めて良い」とする見解を示したことで、アウグスト・アラス検察庁長官に対し、検察界が具体的な抗議に動きつつあると、13、14日付現地サイトが報じている。

 社会隔離反対を訴えるボルソナロ大統領の言動を、検察庁内や最高裁が批判して大統領の介入を差し止める内容の請求が起こっていた。しかしアラス長官はそれを却下し続けた上、13日には、「コロナ対策として行う社会的隔離に関する決定権は大統領にある」との意見書を最高裁に提出した。
 さらに同長官は、ルイス・ロベルト・バローゾ最高裁判事がボルソナロ氏が進めていた「ブラジルは止まれない」というキャンペーンを差し止めたことを批判。「行政の長が行う判断は外部からの干渉を受けることはない」として、世界保健機関(WHO)のガイドラインに従わないボルソナロ氏の言動を肯定した。
 この意見書に対し、検察・司法界では強い反発が起きている。全国連邦判事協会(ANPR)のファビオ・ジョルジェ会長は、「私たちは長官の見解を懸念しており、最高裁に掛け合うべく、法的行動に出る準備も進めている」と語っている。
 マルコ・アウレリオ・メロ最高裁判事も、アラス氏の意見書は「憲法の見地から見て、考えられない内容だ」との見解を表明している。

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