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音楽界の王=ロベルト・カルロスもマスク着用訴える=100万人視聴のネット生ライブ中に

「辞めろ! ボルソナロ」の投稿も目立ったロベルトの配信(ツイッター)

 60年代から活躍し、「ブラジル音楽界の王」の異名もとる歌手ロベルト・カルロスが19日、ネット配信の生ライブを行い、新型コロナウイルス対策のための「マスク着用」の重要性を訴えた。ロベルトはコロナウイルス対策の重要性を認めようとしないボルソナロ大統領の支持者とみられていたため、この言動は意外なものとして、話題となった。
 このところ、ブラジル国内では歌手のネット生ライブの配信が話題を呼んでいるが、ブラジル音楽界きっての大物ロベルト・カルロスもこの日、生ライブに挑んだ。この前日の18日には、「ワン・ワールド・トゥギャザー・アット・ホーム」という世界的な生ライブ配信が行われ、ロベルトと同世代のポール・マッカートニーやローリング・ストーンズのパフォーマンスが話題を呼んでいた。
 ロベルトのこの配信もブラジル国内では話題で、ユーチューブ上だけでも100万人(元の送信チャンネルはグローボプレイ)の視聴者を記録している。
 ロベルトはここで代表的なヒット曲の数々を歌ったが、それ以上に話題を呼んだ瞬間はトークだった。 
 ロベルトは視聴者に対して、「隔離はちゃんと行っている?」と問いかけ、「マスクは絶対に使わなきゃだめだ。今、起こってることに関して、大切なものだよ」と、マスク着用の必要性を強く訴えた。
 これはネットのファンには意外な行為として映った。それはロベルトが予てから、ボルソナロ大統領の支持者として思われていたためだ。
 ボルソナロ大統領は、コロナウイルスに関して「マスコミは騒ぎすぎ」などと批判し、「今すぐ商業活動を再開すべき」などの発言を行ってきているため、熱心な支持者の間では、大統領の意向に従うべきだという考え方もあった。
 ロベルトは、圧倒的に左派が多いブラジルの芸能界にしては珍しく、政治的な発言を積極的に行わないが、人気絶頂の時代に軍政との近しい間柄が度々報じられてもいる。ロベルトは軍出身のボルソナロ氏の政権に関しても、「誤解はされているが、良心に基づいての言動だ」などと発言して、擁護もしていた。
 だが、ロベルトが社会的隔離やマスク着用の重要性に言及したことで、ネットライブ放送中のユーチューブのコメント欄には、「#フォーラ(出て行け)、ボルソナロ」の書き込みが数多くなされた。
 ボルソナロ大統領はこの日、ブラジリアで軍事クーデター(軍事介入)を呼びかけるデモに参加し、各界から強い批判を浴びていた最中だった。(19日付レヴィスタ・フォーラムなどより)

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