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《ブラジル》下院議長「死者数を弄ぶな」=批判逃れで政府がコロナ感染者累計などデータ隠し

数字の混乱さえ起き、実態隠しと批判されている保健省の公式サイト

 【既報関連】新型コロナウイルスの感染者が世界第2位、死者は世界第3位となったブラジル。連邦政府は批判回避を優先して、保健省の公式サイト(https://covid.saude.gov.br/)からデータ隠しを始めたことで、世界中から批判を招いている。同サイトからは詳しい数字がなくなり、その日の数だけ強調されるようになった。5~8日付現地紙、サイトが報じた。
 コロナ感染に関する数字は、保健省の公式サイト改変によって5日以降、正式なものが出ていない。
 5、6日はまだ、各州の感染者数と死者数の増加分が発表され、6日夜現在の感染者は67万2846人、死者は3万5930人、回復者は27万7149人、治療中の人は35万9767人である事が計算出来た。
 だが、7日は、最初の発表で感染者1万2581人増(計算上の累計68万5427人)、死者1382人増(同3万7312人)とされていたのに、2時間後に更新された公式サイトは別の集計方法を採用し、感染者1万8912人増(同69万1758人)、死者525人増(同3万6455人)、回復者1日28万3952人(実際は累計、計算上の増加分は6803人)と丸っきり異なる数字を掲載した。
 7日の公式サイトには各州の増加分さえ掲載されず、4日までは毎日更新していた感染率や死亡率、致死率、毎日の感染者や死者の増加分と累計を州毎に集計したデータも削除された(各指数の算出法や科学的な意味を記したページは保存)。
 ボウソナロ大統領がメディアや国際機関からの批判を気にしていた事は周知の事実だ。4月頃には午後5時に公表していた数字がどんどん遅くなり、3日以降は、ボウソナロ大統領批判の急先鋒であるグローボ局ニュース番組「ジョルナル・ナショナル」放送後になっていた。
 大統領は6日、「3日以降の保健省公式発表が午後10時頃になったのは完全なデータを報告するため」と説明したが、同日は公式発表前に報道された州保健局の集計の方が数が多いなどの矛盾が表出した。5日夜は、「ジョルナル・ナシオナルのネタがなくなった」と語り、批判的なメディアには情報を握らせないとの姿勢を示した。

 ボウソナロ大統領は、「政府予算獲得のために州政府が数字を改ざんしている」とも発言。公式に就任さえしていないのに「死者数見直し」を宣言し、翌7日に保健省局長辞任を表明したカルロス・ウィザード氏共々、各州保健局長からの批判を浴びた。
 連邦公安庁は6日、現在も感染拡大が続くコロナ禍では特に、公的機関が正確な情報を適切な方法で知らせる事は必須かつ義務だとし、公式サイトへの詳細情報掲載と午後7時までの情報公表を保健省に命じるよう、サンパウロ州連邦裁判所に求めた。
 ジウマル・メンデス最高裁判事は6日、「統計操作は全体主義体制の常とう手段」と批判。エンリケ・マンデッタ元保健相は、「保健行政の視点から見て、情報隠匿は惨劇」とも語った。
 エポカ誌編集担当者は「数字隠匿は国が対峙すべき悲劇を深刻化させ、ブラジルのイメージを損なうだけ」と明言。先週も公式発表が遅いと苦言を呈していたロドリゴ・マイア下院議長は8日、「死者の数を弄び、現実と対峙するのを避けるための並行世界を創出した」との言葉で、政府や保健省の態度を再批判した。

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