サンパウロで外出自粛が始まる6日前の3月18日、日本製の健康グッズを携え、ブラジルでの市場開拓に胸を膨らませ初めてグァルーリョス空港に降り立ったネパール人がいる。カトマンズを拠点に『より明るい未来の生活マーケティング社(Brighter future life marketing Pvt ltd)』を経営するラン・ハリ・サプコタさん(38歳、ヌワコット生まれ)だ。ブラジルに入国して間もなくネパールの国際空港が閉鎖し、直行便では帰国できなくなったため、サンパウロ市のブラス地区で滞在を続けている。
サプコタさんは主に健康と美容製品の輸出入、卸売、マーケティングを手がけ、ネパール産の緑茶以外、商品はほぼ日本で買い付けた商品だ。これまでマレーシア、インドネシア、シンガポール、アラブ首長国連邦、ネパール、インドで販売し、今回はブラジルを拠点にパラグアイ、ボリビア、チリ、アルゼンチン、ウルグアイなどへのビジネス展開も計画して来た。さらにアフリカへの販売網拡大も期待している。
日本製の商品は、バイオエネルギー製品(電磁波防止ペンダント、電磁波防止シート、生体磁気ブレスレット)。電磁波防止ペンダントはマイナスイオンが添加され、有害な電磁波を防ぎ、人体への多様な疾患の緩和や補助治療効果がある。電磁波防止シートは、携帯電話やパソコンなどから発生する電磁波による人体への被害を防ぐものだ。
いずれも日本のハイクオリティーの技術がアジア各国でも評価され、ブラジルにもネパール商人によって新たに日本ブランドが売り込まれる形だ。
ネパールの緑茶は、100%オーガニックの自然食品で、日本の緑茶ほどフレーバーは感じられないが、ヒマラヤの恵みが高い健康増進を保障する。サプコタさんは「ブラジルで試飲してもらった後、多くの方に気に入られました。ネパール産の緑茶はとても健康に良く、世界中で受け入れられます。ブラジルでも手ごたえを感じています」と話す。
「普段は英語で商談をしているため、初めてのブラジルでポルトガル語でのコミュニケーションとコロナウイルスによる影響で少し問題がありましたが、今後は非常に簡単にビジネスを進められると確信しています。ブラジルが大好きなので、長期的なビジネスのために再び戻ることができればうれしいです」と意気込みを見せる。
クアレンテーナで商談も通常よりスムーズに行かない場面もあったが、セスタ・バジカを配布するNGOのボランティア活動等、様々な人々との交流にも積極的に参加してきた。
日本は2018年と2019年にビジネスと観光で訪れた。「世界20カ国以上を訪れましたが、日本と日本人が好きです。正直で、すべての人々をとても尊敬してくれます。私もいつも日本人を尊敬しています」とのべる。ユニークと感じる日本のカレーライスも好物だ。
アジアの数カ国からはチャーター便でネパールへの帰国も可能だが、ブラジルからはトリブバン国際空港が開くのを待って出国予定。その後すぐか帰国途中に日本に行き、商品を仕入れる計画を立てている。クアレンテーナにもめげず、日本とブラジルを繋ぐネパール商人の商魂が輝きを放つ。