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《ブラジル》モウロン副大統領「近い将来、世界最大の農業国に」=アマゾン森林破壊批判に反論=地政学的な裏あると独自見解

アミルトン・モウロン副大統領(José Cruz/Agência Brasil)

 アマゾン地域の不法森林伐採の横行についてアミルトン・モウロン副大統領は、「伐採に対する国際的な批判には、隠された商業的意図と、ブラジルの強みであるアグリビジネスへの地政学的な競争が反映している」と政府への責任追求を回避しようとするかのように述べたと、9日付エスタード紙が報じた。
 環境問題でブラジルのイメージを悪くし、他国とのビジネスに悪影響を与えることに、国際社会は関心を持っているとのうがった見解を副大統領は示した。
 副大統領は9日、欧州や日本を含む海外投資会社とのテレビ会議に参加。その後に行われた記者会見で、「今日の世界に存在する地政学的な論争を認識することは重要なことであり、ブラジルは並外れた可能性を秘めている。私たちには豊富な水資源や電気エネルギー、肥沃な土地のほか前進して成長するための広大な空間がある。ブラジルが近い将来、世界最大の農業大国になることは間違いなく、これはわが国の運命の表れと言える」と強調。
 「ブラジルの生産力の進歩を気にする人々が、何らかの形でその進歩を妨げようとしていることは明らかだ」との見解を述べた。
 テレーザ・クリスチーナ農相も先週のエスタード紙とのインタビューで、アマゾン森林破壊問題について同様に注意を喚起。「他に商業的な裏の意図があるのに、環境面に限って批判している。なぜブラジルだけ(批判されるのか)ということを、我々は(世界に対して)問わなければならない。私がすでにサンタクロースを信じる年齢ではなくなったように、私が見ているニュースには隠蔽された意図があると考えるべきだ」と語った。

 パウロ・ゲデス経済相も数日前に森林伐採問題についてコメントした際、同問題が先進国の保護主義から派生したものであり、環境分野においてブラジルを誹謗中傷するキャンペーンが行われていると説明した。
 「私たちのイメージは国外では非常に悪いもので、私たちの一部の人でさえもブラジルのことを非常に悪く語っている。長年のパートナーでありながら保護主義的で日和見主義のフランスのように、ブラジルに投資している国もあるが、我々は(フランスに)農産物を輸出することを望んではいない。米国はエタノール分野でブラジルに参入したいと考えているようだが、ブラジル産の砂糖は米国では受け入られていない」と反論した。
 これらは、ボルソナロ大統領の意見を反映した論調であり、大統領はこれまで何度となく「アマゾンへの国際的な懸念は環境問題ではなく、アグリビジネスや鉱業との商業的利益に関連している」と述べている。昨年10月に大統領はプラナルト宮(大統領府)前で、「アマゾンへの国際的な関心は先住民や森林ではなく、本当は鉱物資源だ」と強調していた。
 政府は9日のテレビ会議を利用して、国際的な投資企業にブラジルの環境保護への投資を依頼した。副大統領は投資の例として、ノルウェーやドイツから出資されている「アマゾン基金」を挙げた。
 しかし、ブラジル政府はこれらの国から受け取った出資金を使っていないことが明らかになっている。「アマゾン基金」にはすでに3300万レアル以上の資金が送られた。だが、国立再生可能天然資源環境院(IBAMA)による森林消防活動と、法務省による国軍の森林調査の拡大という2つの活動に資金利用先が限定されている。そのため、現政権は2年以上利用できていない。

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