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ボウソナロ=《ブラジル》教会大免税法案に拒否権=通過していれば10億レ=世間と経済省の反対強く=財政責任法恐れた大統領

14日のボウソナロ大統領(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 ボウソナロ大統領は13日、教会が連邦税務局に対して支払うべき10億レアルにも及ぶ負債を帳消しにする法案に対して、拒否権を行使した。連邦議会はすでに承認していた。世間や経済省の強い反対が背後にあると見られている。14日付現地紙が報じている。
 この法案はそもそも、ボウソナロ大統領が推奨したもので、「グラッサ・デ・デウス」国際教会の創設者で著名な作家でもあるRRソアレス氏の息子のダヴィ・ソアレス下議(民主党・DEM)と、連邦税務局のジョゼ・バローゾ・トステス・ネット局長らとも根回しをし、ソアレス下議が提案者となって進められていた。
 ソアレス下議が進めたのは、教会が負担する二つの納税義務を免除させるものだ。ひとつは、法人に義務付けられる、純益に対する社会納付金(CSLL)だ。教会は憲法で非営利団体として認められているが、1988年に制定された法律では、同税の支払いを免除することが明記されておらず、法人なのにCSLLを支払っていないとして、連邦税務局が罰金を科していた。同法案では、教会をCSLLの対象外として、免税を認め、罰金の徴収も免除することとしていた。
 もうひとつは、牧師や教会のリーダーなどの年金積立に関するものだ。2015年に、連邦議会は、これらの教会が牧師や役員に対する年金徴収の免除を認める法案を承認し、合法化させている。だが、この法律が定められた2015年7月より前の年金積立に関して、教会が徴収額を払わなかったことで受けた罰金についても、年金不払いに関する罰金を帳消しにすることを認めるよう、今回の法案は求めていた。

 連邦議会には福音派の議員が大勢おり、法案審議などのために、福音派議員の票は欠かせない。また、選挙戦を前に、福音教会の指導者からの協力を得たいボウソナロ大統領は、同法案を通すことを強く願っていた。こういった意向もあり、同法案は7月には下院、8月には上院で承認された。
 だが、全国の教会が税務局に抱えているとされる全ての負債、およそ15億レアルの内、約10億レアルが免除されるということがマスコミを通じて報じられたことで、国民からの反感が強まっていた。教会の中には、牧師や役員など多くの人を有給職員として登録しながらも所得税その他の支払いを免れていたところもあり、税務局などから問題視されてきた。
 加えて、経済省からも強い抵抗があったと見られている。新型コロナウイルスの感染拡大により、経済活動が大きく落ち込み、国内総生産(GDP)も大打撃を受けている中で、10億レアルもの大金が徴収されないことは大きな足かせになりかねない。経済省のスタッフのひとりは、フォーリャ紙の記者に、「法案通りに裁可されたら辞める」とほのめかしていた。
 こうした反感の高まりの中、ボウソナロ大統領も9日の時点で拒否権の発動をほのめかしていたが、14日の連邦政府官報に記されていたものでは、「年金徴収の不払いに関しての罰金免除」は有効とされた。
 CSLLの免除や罰金の帳消しに関しては「大統領自身が、連邦会計検査院(TCU)から財政責任法に問われる可能性がある」として採択しなかった。財政責任法はジウマ元大統領が罷免に問われた罪状でもあった。
 教会側は、大統領に対して拒否権を行使しないよう求め、説得し続けていたが、叶わなかった。福音派大物のシラス・マラファイア牧師は「マスコミが騒いだからだ」と拒否権行使を嘆いている。
 一方、福音派の支援や協力を失いたくないボウソナロ大統領は既に、連邦議会が大統領拒否権を拒否することを期待する発言を行っているという。

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