11月29日に市長選決選投票が行われ、サンパウロ市ではブルーノ・コーヴァス氏(民主社会党・PSDB)、リオ市ではエドゥアルド・パエス氏(民主党・DEM)が当選するなど、全国で57人の市長が新たに選ばれた。11月30日付現地紙が報じている。
ブラジルの市長選では、人口が20万人以上の都市は一次投票で50%以上を獲得できなかった場合、上位2人の候補による決選投票が行われる。該当する全95市のうち、57市で決選投票が実施された。
全国最大のサンパウロ市では、現職のブルーノ・コーヴァス氏が有効票の59・36%を獲得して、ギリェルメ・ボウロス氏(社会主義自由党・PSOL)を振り切った。ボウロス氏の追い上げが報じられていたが、コーヴァス氏が最後に票を伸ばして振り切った。
リオ市では元市長のパエス氏(2009〜16年)が64・07%の支持を獲得して、現職のマルセロ・クリヴェラ氏(共和者・RP)を破って返り咲いた。
リオ・グランデ・ド・スル州ポルト・アレグレではセバスチャン・メロ氏(民主運動・MDB)が54・63%の支持で、マヌエラ・ダヴィラ氏(ブラジル共産党・PCdoB)を破って当選した。
フェイクニュース騒動で揺れ、注目されたペルナンブッコ州レシフェでは、フェイクニュースを仕掛けた方のジョアン・カンポス氏(ブラジル社会党・PSB)が56・27%の支持を得て、マリリア・アラエス氏(労働者党・PT)を抑えて当選した。ジョアン氏は14年大統領選中に飛行機事故で急死したエドゥアルド・カンポス氏の長男で、27歳という異例の若さでの州都の市長となったが、後味の悪さを残した。
セアラー州フォルタレーザでは、同州で圧倒的な強さを誇る18年大統領選候補のシロ・ゴメス氏が擁立した民主労働党(PDT)の候補、サルト・ノゲイラ氏が、51・69%の支持を獲得し、カピトン・ヴァギネル氏(社会秩序共和党・PROS)を振り切って当選した。
エスピリトサント州ヴィットーリアでは、デレガード・パゾリーニ氏(RP)が58・50%の支持で、ジョアン・コゼル氏(PT)を破って当選した。これにより、下院最大党のPTが1985年の民政復帰以来はじめて、州都の市長が1人もいない惨敗結果に終わった。
一方、ボルソナロ大統領の前所属党社会自由党(PSL)も、州都の市長を1人も出せなかった。また、大統領が推薦した市長候補は16人いたが、当選したのは4人で終わるなど、こちらも結果を出せなかった。
大停電で揺れたアマパー州都マカパー以外の全ての都市で、21年1月からの市長が決まった。市長数がもっとも多い政党はMDB、最大の有権者数を獲得したのはPSDBとなったが、いずれも数は大きく減らした。一方で中道勢力、セントロン系の政党が市長の数を大きく増やしている。マカパー市の市長・市議選は、6日が一次投票、20日が決選投票の予定だ。